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ADL(日常生活動作)とは?BADL・IADLの評価方法と低下を防ぐ予防策

ADL(日常生活動作)とは?BADL・IADLの評価方法と低下を防ぐ予防策

ADLは日々の生活を送るために必要な基本的動作の総称で、「日常生活動作」と訳されます。

ADLは老化のほか、病気や怪我、認知症などが原因で低下する恐れがあります。ADLが低下すると日常生活がままならなくなり、自立した生活を送ることが難しくなるでしょう。

近年は「日常生活において、制限なく健康に過ごせる期間の平均年数(健康寿命)」が重要視されており、この年数を延ばすためにはADLの維持・向上が必須といえます。

この記事では、ADLの概要や評価方法を解説します。また、ADLが低下する原因と起こりうるリスク、低下を予防する方法なども紹介するため、ぜひ最後までお読みください。

ADL(日常生活動作)とは

ADL(日常生活動作)とは

はじめに、ADLの意味や評価方法、QOLとの関係性など基本的な事柄を解説します。

ADLの意味

ADLは、「Activities of Daily Living」の頭文字からなる言葉です。A(Activities)は「動作」、DL(Daily Living)は「日常生活」と訳され、日々の生活を送るために必要な基本的動作の総称とされています。

ADLは、高齢者や障がい者の身体機能や日常生活レベルを測るうえで重要な指標として、主に医療や福祉現場で用いられています。ADLの維持と向上を図ることは自立した生活につながり、介護予防においても重要な要素です。

QOLとの関係性

ADLに似た言葉として挙げられるのがQOLです。QOLとは「Quality of Life」の頭文字を取ったもので、「生活の質」や「人生の質」を意味します。

QOL評価では、個人が生きていくうえでの充実感や満足度を評価します。特に高齢者にとって、ADL(日常生活動作)を自分で行えることは、QOLを高めるために重要なポイントです。

関連記事:
介護におけるQOLとは?低下する要因と生活の質を上げる5つのコツ

BADL(基本動作)とIADL(手段的動作)の具体的な動作

ADLの評価方法は、BADL(basic ADL)とIADL(instrumental ADL)の2つです。

BADLは基本的日常生活動作、IADLは手段的日常生活動作を指します。IADLはBADLの次の段階となり、より複雑で判断力を必要とする動作のことです。

それぞれの具体的な動作は以下のとおりです。

BADL(基本的日常生活動作) IADL(手段的日常生活動作)
  • ・起居動作(起き上がりや寝返りなど)
  • ・移乗(ベッドから車椅子への乗り移りなど)
  • ・移動
  • ・食事
  • ・更衣
  • ・排泄
  • ・入浴
  • ・整容
  • ・掃除
  • ・料理
  • ・洗濯
  • ・電話
  • ・買い物
  • ・趣味
  • ・服薬管理
  • ・金銭管理
  • ・交通機関の利用 など

ADLの評価方法

ADLは、BADLとIADLの双方の観点から評価します。それぞれいくつか評価方法があるため、ここで押さえておきましょう。

BADLの評価方法

BADLの評価方法は、Barthel Index(バーセルインデックス)、Katz Index(カッツインデックス)、DASC-21(ダスク21)の3つです。

Barthel Index(バーセルインデックス)

高齢者の「できるADL」を客観的に評価することを目的とした、世界的に普及している評価方法です。

「移乗、移動、階段昇降、食事、入浴、トイレ動作、排尿コントロール、排便コントロール、更衣、整容」の10項目を、不能から自立まで2~4段階の尺度で採点します。

Katz Index(カッツインデックス)

「入浴、更衣、トイレの使用、移動、排泄コントロール、食事」の6項目において、AからGまでの7段階の自立指標を用いて判定します。

DASC-21(ダスク21)

高齢者の認知機能と生活機能を把握し、重症度を評価するためのアセスメントツールです。認知症のスクリーニングのための21の質問のうち、基本的ADLに関連する「入浴、更衣、排泄、整容、食事、移動」の項目が含まれます。

一定の研修を受けた介護スタッフや医療従事者でも実施できる、アンケート形式の検査です。

IADLの評価方法

IADLの評価方法としては、Lawton(ロートン)の尺度や老研式活動能力指標、DASC-21が挙げられます。

Lawton(ロートン)の尺度

評価項目は「電話をする能力、買い物、食事の支度、家事、洗濯、交通手段、服薬管理、金銭管理」の8つです。3~5段階評価で、点数が高いほど自立度が高いと判断できます。

老研式活動能力指標

評価項目は「交通機関を使っての外出」「買い物」「食事の準備」「請求書の支払い」「預貯金の出し入れ」「書類を書く」「新聞を読む」「本や雑誌を読む」「健康への関心」「友人宅への訪問」「家族や友人からの相談に乗る」「病人のお見舞いに行く」「若い人に話しかける」の13点です。点数が高いほど、自立していることをあらわします。

DASC-21(ダスク21)

認知症のスクリーニングのための21の質問のうち、手段的ADLに関する「買い物、交通機関を使っての外出、金銭管理、電話、食事の準備、服薬管理、問題解決」などが含まれています。

ADLが低下する原因と起こりうるリスク

ADLはどのようなことが原因で低下するのでしょうか。ここでは、ADLが低下する主な原因と、低下によって起こりうるリスクを紹介します。

ADLが低下する原因

ADLが低下する原因としては、老化による筋力低下に加えて、病気や怪我による一日の活動量の減少などが挙げられます。

代表的な病気や怪我は以下のとおりです。

  • ・脳血管障害(脳梗塞や脳出血)
  • ・糖尿病など生活習慣病
  • ・心臓・血管疾患
  • ・パーキンソン病など神経疾患
  • ・関節疾患
  • ・大腿骨近位部骨折
  • ・廃用症候群
  • ・認知症
  • ・精神疾患
  • ・薬の副作用

ADLが低下すると起こりうるリスク

ADL低下の背景には、「身体機能」「認知機能」「社会環境」「精神面」があります。これらは相互かつ密接に関わっており、一つでも機能が衰えることでADLが低下して、寝たきりなどのリスクにつながります。

  • ・身体機能の低下:体力や筋力、筋肉量、骨密度や内臓の機能が低下する。立つ・歩くなどの動作が困難になり、ふらつきや転倒による怪我につながることもある
  • ・認知機能の低下:物忘れや記憶障害、見当識障害など認知機能が衰える。判断力やコミュニケーション能力が低下し、生活に支障が出る
  • ・社会環境の影響:他者との交流や社会参加の機会が減り、活動力が低下する。自宅に引きこもり、塞ぎ込みがちになる
  • ・精神面の影響:家事や外出、社会参加など活発な活動ができなくなることで、精神的に落ち込んでいく。その結果、活動量がさらに減り、身体機能や認知機能の低下を招いて寝たきりへと進行しやすくなる

ADLの低下を予防する4つのポイント

ADLの低下を予防する4つのポイント

次に、ADLの低下を予防するにあたり、重要なポイントを紹介します。

1.規則正しい生活を心がける

質の良い睡眠をとる、早寝早起きを心がけるなど、規則正しい生活は心身の健康に良い影響を与えます。

また、栄養バランスに配慮した食事をとり、水分補給も忘れずに行うことは、生活習慣病などの疾患を予防するためにも大切です。

2.定期的に体を動かす

筋力を維持することは歩行能力の向上につながるため、定期的に体を動かすことを習慣化するとよいでしょう。

おすすめの運動には、ウォーキングやスイミングなどの有酸素運動が挙げられます。家の周辺を散歩するなど無理のない範囲でもよいので、定期的に体を動かす習慣をつくりましょう。

3.社会的な役割や交流を増やす

ADLを維持するためには、「役に立っている」という実感を得たり、ご家族や地域社会との交流を増やしたりすることが大切です。

具体的には、ボランティアや民生委員などの役割を担うほか、地域で行われているプログラムに参加したり、新たな趣味にチャレンジしたりするのもよいでしょう。

社会的な役割を担うことで、交友関係も広がる可能性があります。

4.安全に配慮した環境整備をする

転倒して怪我を負うと、寝たきりからのADL低下につながるリスクとなります。転倒防止のためにも、室内の床に物を置かないようにしたり、暗い場所にはセンサー付きの照明を設置したりして対策しましょう。

また、わかりやすいボタンや案内機能がついた電化製品を導入するのも対策の一つです。

加えて、歩行器や杖など介護製品を活用するほか、スロープや手すりの設置、床や階段を滑りにくい素材に変えるなど住居のリフォームも視野に入れましょう。福祉用具の貸与や購入、住宅改修には、介護保険を使えるケースもあります。

ADLの訓練方法

ADLの訓練方法

ADL訓練はリハビリテーションにおける重要な要素であり、日常生活に必要とされる基本的な動作を反復し、維持することを目的とします。

以下に、具体的な訓練の方法を紹介します。

身体機能の訓練

身体機能では、以下のような日常で実際に行う動作を訓練し、技術の向上を図ります。

  • ・食事の動作:食事の準備の手順、フォークやスプーンの使い方を訓練
  • ・入浴やトイレの動作:浴槽への出入りや、洗面所・トイレの使い方を訓練
  • ・衣類の着脱:動きやすい服装を選ぶことから始まり、衣類の着脱を練習
  • ・移動能力:一人での歩行が難しい場合は、杖や歩行器を使用した移動訓練

上記の訓練を音楽やダンスとともに行うなど、レクリエーションの一環とする方法もあります。

認知機能の訓練

認知機能の訓練では、日常生活の機能向上を目的とし、記憶や判断力をトレーニングします。一例として以下が挙げられます。

  • ・計算・記憶訓練:数の認識や簡単な足し算などを用いて計算や記憶を訓練
  • ・手工芸を活用した訓練:折り紙や編み物などにより、集中力や手順の記憶、実行力などを強化

まとめ

日々の生活を送るために必要な基本的動作の総称であるADLは、老化のほか、病気や怪我、認知症などが原因で低下する恐れがあります。ADLの低下は寝たきりにつながるリスクがあるため、維持や向上を心がけるとよいでしょう。

ADL維持のためには、規則正しい生活や定期的な運動、趣味やボランティアを通じた社会交流を行うことが重要です。また、歩行器や杖など介護製品の活用、スロープや手すりの設置など住居のリフォームも効果的です。

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