早老症（ウェルナー症候群）とは？原因や症状、日常生活の注意点を解説

早老症とは、実年齢に比べて老化に似た症状が早い段階で現れる病気です。「早期老化症」とも呼ばれ、代表的な症例にウェルナー症候群やハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群などがあります。

ウェルナー症候群は、患者数の約6割が日本人とされています。かつては合併症などの影響により、40代ほどで亡くなってしまうような病気でしたが、現在では医療技術が発達したことで60代まで生きられる方も増えてきています。

早老症（ウェルナー症候群）は、WRNと呼ばれる遺伝子の異常が原因とされています。ただし、なぜWRNの異常によって老化が早まるのかはまだわかっていません。

日本のウェルナー症候群の患者数は約2,000名です。発症率は5～6万人に1人とされています。

ウェルナー症候群になると、髪や肌に以下のような症状が表れます。

ウェルナー症候群は、主要徴候やその他の徴候と所見、遺伝子変異から診断されます。

引用：ウェルナー症候群│千葉大学大学院医学研究院 内分泌代謝・血液・老年内科学

主要徴候のすべて、もしくは3つ以上の主要徴候に加え、遺伝子変異を認めるものを確定診断とします。

また、主要徴候の白髪や脱毛などの早老性毛髪変化と両目の白内障が見られ、その他の徴候から2つ以上ある場合は、ウェルナー症候群の疑いがあると診断されます。

症状による自己判断はできません。気になる症状があれば早期に医療機関を受診しましょう。

ウェルナー症候群では、さまざまな合併症が見られます。ここでは、特に関連が深い5つの合併症について、その概要を順にご紹介します。

• 糖尿病
• 脂質異常症
• 脂肪肝
• サルコペニア・骨粗しょう症
• 悪性腫瘍

糖尿病は、血糖値（血液中のブドウ糖濃度）が高い状態になる病気です。血糖値を下げるインスリンが十分に働かなくなることが原因で発生します。日本ではウェルナー症候群患者の約6割が糖尿病を合併するとされています。

血糖値が高い状態が続くと、心臓病や失明、腎不全、尿毒症などの重い病気につながってしまいます。血糖値を正常に保つために、医師の指示にしたがって食事の内容を見直したり、薬を服用したりする対応が一般的です。

脂質異常症とは、血中に含まれる悪玉コレステロールや中性脂肪が基準値よりも高い状態や、善玉コレステロールが基準値よりも低い状態になる病気です。日本では、ウェルナー症候群患者の約半数が脂質異常症を合併するとされています。

糖尿病と同様に、お腹周りに脂肪がたまってメタボ型の体形になり、インスリンが働かなくなることが、発症する要因の一つと考えられています。

脂質異常症になると、動脈硬化が起こりやすくなり、狭心症や心筋梗塞、脳卒中などのリスクが高まります。ウェルナー症候群の場合、狭心症や心筋梗塞になる方が多く、その一方で、脳卒中の発症は一般の方に比べて少ないなどの報告もあります。

動脈硬化にならないよう、生活習慣を改善するとともに、場合によっては投薬による治療が必要になる場合もあります。

脂肪肝とは、肝臓のなかに中性脂肪が過剰に蓄積した状態です。日本ではウェルナー症候群患者の約3割が脂肪肝を合併するとされています。

脂肪肝は痛みなどの自覚症状がないため、発見が遅れることがあります。ウェルナー症候群の場合、標準体重を十分に下回っている方でも発症するケースがあるため、体形だけでは発症を疑えない点にも注意が必要です。

脂肪肝を発症すると、倦怠感や腹部の膨満感などの症状が現れることがあります。また、脂肪肝は放置すると肝硬変や肝がんへと進行する恐れもあります。

生活習慣を見直して適度な運動を心がけ、予防と改善に努めましょう。

サルコペニアは筋肉量が減り、筋力や歩行速度が低下している状態です。また、骨粗しょう症は、骨の量が減ってもろくなり、骨折しやすくなる病気です。

ウェルナー症候群患者は、比較的若い世代から筋肉量が低下することが知られています。また、日本ではウェルナー症候群患者の41％に骨粗しょう症が見られています。

サルコペニアや骨粗しょう症の予防方法には、適度な運動と食事の改善があります。ウェルナー症候群患者は足底に潰瘍ができやすいため、過度な運動は避け、医師の指導のもとで適切な運動をすることが大切です。

サルコペニアを予防するなら、大豆製品や魚、肉などから積極的にタンパク質を摂取してください。骨粗しょう症を予防するなら、カルシウムやカルシウムの吸収を助けるビタミンDを摂取しましょう。

悪性腫瘍は、細胞が異常に分裂・増殖することで発生する病気です。日本ではウェルナー症候群患者のおよそ3割が悪性腫瘍を合併するとされています。

悪性腫瘍の治療方法には、手術や放射線治療、化学療法などがあり、ウェルナー症候群の方も一般の方と同じように治療可能です。

先述のとおり、早老症では怪我をしないような生活環境づくりが大切です。廊下に手すりを設置する、段差にスロープを設置する、家具の角などにコーナーガードを取り付ける、滑り止めマットを使う、低床のベッドを使うなどして環境を改善しましょう。

手すりやスロープ、介護用ベッドを利用する場合は、福祉用具のレンタルを検討するのも一案です。レンタルすることで、費用を低く抑えられます。

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また、福祉用具のレンタルの際には介護保険制度を活用可能です。介護保険は原則として65歳以上の方が利用できますが、早老症は介護保険制度における特定疾病に該当するため、40歳以上65歳未満の方でも要介護認定を受けられます。

要介護認定を受けて要支援または要介護の認定を受けると、在宅介護に関するサービスを利用できます。サービスにかかる費用負担も軽減できるため、介護保険を活用しながら生活環境を整えましょう。

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早老症は、指定難病のひとつであり、白髪や脱毛、皮膚の硬化など、実年齢よりも老いて見える症状が特徴です。

日本では、早老症のなかでもウェルナー症候群の患者が多く、約2,000人が診断を受けているといわれています。

ウェルナー症候群には、現時点で根本的な治療方法がありません。そのため、日頃から生活習慣を見直し、糖尿病などの合併症を予防・改善するための医療的ケアが重要となります。

また、転倒などの怪我を防ぐため、生活環境を整えることも大切です。ダスキンヘルスレントでは、手すりや介護用ベッドなど、思わぬ事故を防ぐ福祉用具のレンタルを行っています。

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