特別養護老人ホーム（特養・特老）とは？介護老人保健施設・有料老人ホームとの違いや費用・入居条件などを解説

特別養護老人ホームは老人福祉法に基づく介護サービス施設の一つです。特養、特老などとも呼ばれています。

常に介護が必要な方を対象に、日常生活上の支援や機能訓練、療養上の世話などを行ない、可能な限り在宅復帰することを念頭に置いています。また、看取りに対応している施設も多くあり、終身利用も可能です。

特別養護老人ホームを利用する際は公的介護保険制度が適用され、サービス費用の一部が保険から支払われます。民間の介護施設と比べると費用が安いことなどから、特別養護老人ホームは入居待機者が多くなっています。

特別養護老人ホーム（特養・特老）には、広域型、地域密着型（サテライト型・単独型）、地域サポート型の3つの種類があります。それぞれの特徴をみていきましょう。

広域型は居住地制限なく入居できるタイプです。特別養護老人ホームとしては一般的で施設数が多いため、できるだけ早く入居したいと考えるなら広域型の特別養護老人ホームがおすすめです。

定員は30名以上で大規模な施設が多く、医師や看護師、ケアマネジャーなどの職員も配置されています。日常生活支援やレクリエーション、機能訓練などを受けられます。

地域密着型は施設がある市区町村に住んでいる方が入居できるタイプです。サテライト型と単独型の2種類あり、それぞれ以下のような特徴があります。

サテライト型：本体施設と連携しており人員・施設基準が緩和されている

単独型：本体施設がなく、少人数で家庭的な雰囲気が特徴

地域密着型の定員は29人以下です。大人数での生活が苦手、家庭的な雰囲気が好き、という方には地域密着型が向いているでしょう。

地域サポート型は、65歳以上の在宅介護を受けている高齢者を対象としたタイプです。介護が必要だけれどできる限り自宅で生活を続けたい方におすすめです。

ただし、地域サポート型はサービス提供地域が限定的な場合があるため、住んでいる地域によってはサービスを利用できない可能性があります。

特別養護老人ホームはユニット型個室、従来型個室、多床室の3つの居室タイプがあります。居室タイプによって特徴が異なり、入居後の過ごし方もふまえて確認しておきましょう。

特別養護老人ホームの主な入居条件は、以下の2つです。

・ 65歳以上（40～64歳も特定疾病により要介護度3以上であれば入居可能）

・ 要介護度3以上（特例として要介護度1、2で入居できる場合もあります）

要介護度1、2の方も、特例入所として利用できる場合があります。具体的には、「認知症や知的障がい、精神障がいなどによって自宅での生活が困難な方」や「家族による支援が期待できず、在宅で生活すると介護を十分に受けられない方」などが入居できる可能性があります。

また、施設によって入居条件が異なる場合があるため、入居を考えている施設に確認しましょう。

特別養護老人ホーム（特養・特老）および介護老人保健施設（老健）の入居にかかる費用を解説します。

特養の入居にかかる費用には、施設介護サービス費(入浴・食事の補助など)、居住費、食費、日常生活費などがあります。それぞれの概要は以下のとおりです。

※おむつ代、尿取りパッドは施設側の負担となります。

※個別の介護サービス、栄養指導、リハビリ費用など別途加算される場合があります。

施設サービス費は、施設の形態、居室の種類、職員の配置、介護度によって費用が異なり、かかった費用の1～3割が利用者負担となります。

以上のほかに、看取り対応など、より手厚いサービスを受ける場合はサービス費が加算されます。

老健の入居にかかる費用は、特養と同様に、施設介護サービス費、居住費、日常生活費などが挙げられます。

老健と特養の費用の大きな違いは、施設介護サービス費です。老健はリハビリテーションに力を入れているため、特養よりも費用が割高になる傾向があります。

老健の施設介護サービス費利用者負担（1割）（1日につき）

※おむつ代、尿取りパッドは施設側の負担となります

※個別の介護サービス、栄養指導、リハビリ費用など別途加算される場合があります

施設サービス費は、施設の形態、居室の種類、職員の配置などによって異なります。また、個別の介護サービス、栄養指導、リハビリ費用など別途加算される場合があるため留意しましょう。

自分に合う施設に入居するためには、特別養護老人ホームのメリット・デメリットをふまえて入居を決定することが大切です。具体的なメリット・デメリットを、それぞれみていきましょう。

特別養護老人ホームの大きなメリットは、公的な介護施設であり民間施設と比較して低価格であることです。入居一時金がなく、所得に応じた減免制度を受けられるため、所得に不安がある方でも安心して施設を利用できるでしょう。

また、24時間介護を受けられるのも特別養護老人ホームのメリットです。終身にわたって入居でき、多くの施設で看取りも行なっています。

特別養護老人ホームのデメリットは、入居条件が厳しい点が挙げられます。施設によって条件が異なるため、事前にチェックしておくことが大切です。

また、入居待機者が多く、すぐに入居できない可能性が高くなっています。特別養護老人ホームの入居を希望する際は、できるだけ早く施設を探しておきましょう。

なお、特別養護老人ホームは医療施設ではないため、受けられる医療には限界があります。医療的ケアが常時必要な場合は、入居できない可能性がある点にも注意してください。

特別養護老人ホームに入居するには、以下のステップが必要です。

• ① 施設の資料を確認・見学
• ② 入居申込
• ③ 審査
• ④ 面談
• ⑤ 入居可否の決定

ただし、施設や自治体によって申込書に記載する内容や必要書類が異なるため注意しましょう。

前述のとおり、特別養護老人ホームは人気があるため入居まで時間がかかるケースが多くなっています。

入居までの待機期間をできる限り短くしたい場合は、「申込書に急いでいる事情を具体的に記載する」「居住地域外の施設に申し込む」「複数の施設に同時に申し込む」などの対策をとるのがおすすめです。

特別養護老人ホームは公的な介護施設です。要介護3以上の常に介護が必要な方を対象としており、入居すると日常生活支援や機能訓練などのサービスを受けられます。

特別養護老人ホームの利用には介護保険が適用されるため、民間の介護施設よりも低い価格で利用できます。ただし、入居希望者が多く待機時間も長くなりやすいため、いつでもすぐに入居できる訳ではない点に注意が必要です。

また、入居条件や受けられるサービス、費用は施設によって異なります。施設の入居案内などを確認しながら、自分に合ったサービスを検討しましょう。

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