認知症に関する国の施策
2000年に介護保険法が施行され、人々の認知症に対する意識は大きく変わりました。2015年には厚労省が中心となって新オレンジプランを策定し(2017年7月改定)、続いて新しい施策も進められています。
目次
新オレンジプランから「認知症施策推進大綱」へ
厚生労働省では団塊の世代が75歳以上となる2025年を見据え、2015年に新オレンジプラン(認知症施策推進総合戦略)を策定しました。新オレンジプランでは、認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けられる社会の実現を目指しています。
■新オレンジプランの7つの柱
- 1.認知症への理解を深める為の普及・啓発の推進
- 2.認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護等の提供
- 3.若年性認知症施策の強化
- 4.認知症の人の介護者への支援
- 5.認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進
- 6.認知症の予防法、診断法、治療法、リハビリテーション、介護モデルなどの研究開発及びその成果の普及の推進
- 7.認知症の人やその家族の視点の重視
この新オレンジプランの取り組みから、新たに「認知症施策推進大綱」がまとめられました。「認知症施策推進大綱」では、認知症は誰もが発症する病気と位置づけており、認知症との「共生」と「予防」を両輪に施策を推進しています。「予防」は認知症にならないのではなく、「発症を遅らせる・進行を緩やかにする」ことを目指しており、食生活の改善や運動、社会的孤立の解消などを推進しています。一方で、「共生」は認知症があってもなくても家族や地域の人と共に生きることができる社会づくりを目指しています。
▼認知症施策推進大綱についてくわしくはこちら
■認知症施策推進大綱の5つの柱
- 1.普及啓発・本人発信支援
- ・認知症サポーターの養成
- ・相談先の周知
- ・認知症本人からの発信支援
- 2.認知症の予防
- ・食生活の改善、運動不足の解消、社会的孤立の解消など
- ・予防に関するエビデンスの収集
- 3.医療・ケア・介護サービス・介護者への支援
- ・医療・介護従事者の認知症対応力を向上する研修を実施
- ・かかりつけ医や地域包括支援センター、認知症地域支援推進員、認知症初期集中支援チーム、認知症疾患医療センターなどの質の向上と連携強化
- ・認知症カフェなどの取組みを推進
- 4.認知症バリアフリーの推進・若年性認知症の人への支援・社会参加支援
- ・認知症になっても支障なく暮らせる街づくりを推進
- ・認知症に関して取り組んでいる企業への認証制度や表彰
- ・成年後見人制度の利用促進
- ・認知症に関する民間保険の利用促進
- 5.研究開発・産業促進・国際展開
- ・認知症発症や進行のメカニズム解明や、予防法・診断法・治療法・リハビリテーション、介護モデルなどの研究開発
- ・認知症予防やケアに関する技術・サービス・機器などの検証、評価指標の確立
■認知症予防コラム
★眠る直前にスマホやテレビ、パソコンは避けましょう
認知症予防のためには質の良い眠りが大切です。就寝前に適切な行動をとりましょう。眠りに入る際に周囲が暗い方が眠気を誘いやすいといわれており、明るさは10ルクス以下が適しています。寝室の照明は電球色(オレンジ色など暖色系)で過ごし、豆電球(約9~10ルクス)か真っ暗な部屋で就寝するのがおすすめです。スマホやパソコン、テレビの画面は光が強く脳を覚醒してしまうので、就寝直前は見ないようにしましょう。
ヘルスレント関連コラムリンク
監修:一般社団法人 日本認知症予防協会