スムーズな食事介助のコツ
食事介助はコツさえつかめば簡単です。「自分なら、どのようにしてほしいか」を考えて介助しましょう。ここでは、食事介助の基本などを紹介します。
目次
- 1)食事介助の基本
- 2)食事に役立つ福祉用具
食事介助の基本
《介護者が斜め前に座る》
介護者が立っていると顎が上がってしまい、「誤嚥(ごえん)」の可能性が高くなります。要介護者の利き手側の斜め前に座りましょう。
《一口の量は少なめに》
一度に口に入れる量は少なめにします。ティースプーンを利用して少しずつ食べてもらいましょう。
口だけでなく、のどの動きもチェックし、飲み込んだことを確認してから次の一口を差し入れます。「次は人参ですよ」「おいしいですか」など、声をかけましょう。但し、誤嚥の可能性が高くなるため、咀嚼や嚥下中の声かけは控えます。
気分で食べない場合は どうしたらいい?
ちょっとしたことで食欲が湧く場合もあります。次のような点に気をつけてみましょう。
- ・ご本人の好物を一品加える
- ・一度、食事をやめて別のことをしてみる
- ・どうしても食べられない場合は無理をせず、一旦やめてみる
★食事中の舌のはたらきを知っておきましょう
食べ物や飲み物は、次の5段階を経て、のどから食道、胃へと送り込まれます。
- 先行期目や香りなどで、食べ物であることを認知します。
- 準備期食べ物を噛み砕き、唾液に混じらせて飲み込みやすい形にします。
- 口腔期舌を押し付けるような動きで、のどの奥に食べ物を運びます。
- 咽頭期(いんとうき)食べ物がのどから食道に送り込まれます。このとき、気管の入口にフタをして気管に入らないようにします。
- 食道期食べ物を食道から胃に送り込みます。
- ※誤嚥は「喉頭期(いんとうき)」で発生します。加齢などにより、気管の入口のフタが閉じる機能が衰えると、飲食物が気道に入りかけると、むせたり咳をしたりして異物を出そうとします。しかし、むせても異物を出し切れなかったり、そのまま気道に入ってしまうのが誤嚥です。
食事に役立つ福祉用具
自分で食べられることは自立の一歩になります。食事の際に身体の不自由な点を補ってくれる福祉用具の一部を紹介します。
「グリップ付きのスプーンやフォーク」
握力が低下している方には、軽くて、柄が太くて握りやすいグリップつきのスプーンやフォークをおすすめします。
握力が低下している方には、軽くて、柄が太くて握りやすいグリップつきのスプーンやフォークをおすすめします。
「先曲がりスプーンやフォーク」
スプーンやフォークの先を曲げておくと手首を返さずに食べ物をすくうことができます。
スプーンやフォークの先を曲げておくと手首を返さずに食べ物をすくうことができます。
「自助箸」
握りやすい箸です。バネがついているので自然に開き、食べ物もつかみやすくなります。
握りやすい箸です。バネがついているので自然に開き、食べ物もつかみやすくなります。
《食事介助が必要な人には》
「Kスプーン」
スプーンが小さく、薄く平たくなっているので、一口の量が多くなり過ぎません。また、小さいので口の奥まで入れたり、スプーンをひっくり返したりできます。
スプーンが小さく、薄く平たくなっているので、一口の量が多くなり過ぎません。また、小さいので口の奥まで入れたり、スプーンをひっくり返したりできます。
上手なスプーンの入れ方・出し方
顎が上がると誤嚥しやすくなるため、スプーンは上からではなくやや下から、開けた口の中にまっすぐ入れます。スプーンのくぼみが上唇の真ん中に当たるようにするのがポイントです。
スプーンは奥まで入れないように注意します。口が閉じたことを確認し、少し斜め上にスプーンを抜きます。
スプーンは奥まで入れないように注意します。口が閉じたことを確認し、少し斜め上にスプーンを抜きます。
★もし、食事中に誤嚥したら・・・
食事中に急に元気がなくなったり、息が荒くなったり、声をかけても答えない、咳が止まらないなどの症状が現れたら、誤嚥の可能性があります。次のような対処をしましょう。
- ・口を下に向ける
- ・大きな咳ばらいをさせたり、タオルやティッシュを渡して咳や痰を吐かせる
- ・口を大きく開き、咳や痰と一緒に吐き出すように促す
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監修:関西医療学園専門学校 理学療法学科
教員 理学療法士 熊崎 大輔