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介護のいろは 部屋別編 ダイニングでの注意点
ベッドで食事をとることが習慣になると、終日ベッドの上で過ごしがちになってしまいます。食事はできる限りダイニングで、家族とともにとることが理想です。
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介護ベッドに慣れると、どうしても食事をベッドの上ですませがちになります。しかし、1日3回ベッドから離れてダイニングへ行くことは、ベッドから立ち上がる⇒歩く(車椅子に乗る)⇒テーブルの前で座位を保つ、という一連の動きを繰り返すことになり、身体機能の維持につながります。
正しい座り姿勢を保つと、食べ物を飲みこみやすくなります。介護ベッドの上で食べる場合、背上げ機能を使って上半身を起こせますが、両足を下げることができず、足を投げ出した座り方になってしまい、食事をするのによい姿勢とはいえません。その点、いすや車椅子の座位は両足を床につけるため、安定感が増し、背筋も伸ばしやすくなります。
ダイニングのテーブルで食事をとると、自然に家族と顔を合わせ、会話が増えるもの。思うように会話ができなくても、家族の会話を聞き、ベッドからとは異なる風景を見ることで、気分が変わります。ご本人の趣味の品や興味のあるものを用意し、少しでも長くダイニングで過ごしていただくようにしましょう。
食べ物をかんだり、飲みこむ力が弱くなると、食事中にむせたり、のどに詰まらせたりしやすくなります。とくに飲食物が気管に入ると誤嚥性肺炎の原因になるため、注意が必要です。食事中はスムーズに飲みこめているか、むせていないか、そばで気を配るようにします。
飲みこむ力が低下した方に食べにくい食品は、パサパサしているもの(イモ、カステラなど)、粘り気の強いもの(餅、大福など)、変形するがつぶれない練り物など。反対に食べやすい食品は、プリン、ヨーグルト、卵豆腐など、やわらかくて変形しやすく、口の中でまとめやすいものです。
調理では食材を細かく刻み、ごはんもやわらかめにします。飲みこみづらい人には、やわらかい食品にとろみをつけると誤嚥しづらくなるといわれています。とろみはゼラチン、片栗粉、市販のとろみ調整剤などで加えることができます。摂食・嚥下機能は命に関わるもの。主治医ともよく相談するようにしましょう。
手や指をうまく動かせないものの、できる限り自分で食べたいという方には、自助具がおすすめです。バネでつなげた箸や取っ手が太くて握りやすいスプーン・フォーク、取っ手のついたお椀、裏面にすべり止めがついたお皿など、ご本人が使いやすいものを探してみましょう。
嚥下困難のご本人だけ家族と別のメニューを用意するのは、毎日毎食のことだけに大変です。ご家族の負担を減らすため、最近ではさまざまな介護食品が市販されています。「ユニバーサルデザインフード」と呼ばれる介護食品には業界共通のルールがあり、食品のかたさや形を4段階に分けて表示。選ぶときの目安になります。
■ユニバーサルデザインフードの区分表
食事とともに、ぜひ気をつけたいのが脱水の予防です。高齢になるとのどの渇きを感じにくくなるうえに、トイレの回数を減らすため水分を控え、脱水症状を起こす方が少なくありません。つねにご本人の手元に飲みやすいストロー付マグカップや吸い飲みなどを用意し、水分を摂っておられるか、ときどき確認しましょう。
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