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監修:看護師・主任介護支援専門員
雨師 みよ子
前回、「適切なケアマネジメント手法」とは、生活全体を整理しながら支援の方向性を見える化する考え方で、1階の「基本ケア」と2階の「疾患別ケア」を組み合わせて考える“2階建て構造”で成り立っていることをお伝えしました。
今回は、その土台となる「基本ケア」について、もう少し具体的に見ていきます。基本ケアとは、病気の有無に関わらず、全ての方に共通して大切にしたい支援の視点です。たとえば、ご本人がどのような生活を続け、どんな暮らしを望んでいるか。家族はどのように支え、どんな不安や負担を抱えているか。これらを整理しながら支援を考えるのが、基本ケアの出発点です。
基本ケアは、単に「生活を見る」というだけでなく、ご本人・生活・家族を一体として考え、それぞれがつながっているものとして捉えることが大切です。ご本人の希望を尊重したくても、生活環境が整っていない、家族の負担が大きい場合、在宅生活を続けること自体が難しくなります。
逆に、家族の負担を優先すると、ご本人らしい暮らしが置き去りになります。基本ケアでは「尊厳」「生活」「家族」の3つを一体で見ることが重要です。
基本ケアとは、どんな役割を持つのか?
基本ケアは1階にあたります。つまり、すべての支援の“土台”です。2階にあたる疾患別ケアは、病気や状態の特性に応じた注意点や支援を考えるものですが、その前に必要なのが、生活の全体像をつかむことです。前回お伝えしたように、支援は「生活→疾患」の順番で考えることが大切で、その生活の部分をしっかり押さえるのが基本ケアです。
たとえば、歩行が不安定な方でも、必要な支援は一人ひとり違います。日中は安定して歩けるが夜間だけ不安な方もいれば、ご本人は歩きたい気持ちが強い一方で、家族が転倒を心配している場合もあります。また、身体機能だけでなく、生活動線、役割、生活リズム、家族の支え方によっても、必要な関わりは変わってきます。こうした違いを整理せずに、いきなり「この状態だからこの支援」と考えると、その人に合った支援にはなりません。
基本ケアは、こうしたズレを防ぐために、「その人の生活をどう見るか」という視点を与えてくれるものです。また、基本ケアはケアマネジャーだけの視点ではなく、福祉用具専門相談員、介護職、看護職、リハビリ職など、ご本人に関わる多職種が、共通言語として活用することで連携の円滑化に役立ちます。研修資料でも、大切なのは「何をするか」ではなく「どのように考えるか」であり、その考え方を理解することで、支援の説明や共有がしやすくなると整理されています。
基本ケアの1つ目の柱は、「尊厳を重視した意思決定の支援」です。尊厳とは、ご本人の意思や考えを尊重し、その人らしい暮らしを支えることです。資料でも、基本ケアの3つの視点として「尊厳(意思決定の支援)」が挙げられ、「本人の意向」「将来の備え」「意思の確認」が含まれると整理されています。
目指す生活の支援の現場では、安全性や介護のしやすさが優先されやすい場面があります。たとえば、リスクがあるから外出を控えるといった対応は、妥当に見えるかもしれませんが、ご本人にとっては「近所の店に行く」といった生きがいや生活リズムが阻害されます。ご本人がどのように暮らしたいかなどの意向を確認せずに支援を決めてしまうと、「その人らしくない」支援になってしまいます。研修資料でも、「どのように生活したいか」を理解することが支援の出発点になると示されています。
また、尊厳の視点は、意思決定の支援にもつながります。ご本人に迷いがある場合や家族の意見が強い場合でも、ご本人の思いをできるだけ丁寧にくみ取ることが大切です。将来への備えや、どんな生活を望むかを支援者が一緒に考えることも、基本ケアの重要な役割です。
2つ目は、「生活」です。暮らしや習慣、活動、役割、生活リズムを尊重しながら、その人に合った形で生活を継続できるように支える視点です。資料でも、「生活(継続の支援)」として、「生活習慣」「活動/役割」「生活リズム」が挙げられています。 朝起きて顔を洗う、近所の人とあいさつする。こうした日々の習慣や行動の積み重ねが、その人の生活を形づくっています。
生活の視点で大切なのは、「失った機能」を見て支援するのではなく、「どんな暮らしを続けたいか」を基準に支援を組み立てることです。研修資料でも、長年続けてきた生活リズムや好きな活動を、暮らしやすい環境をできるだけ維持することが重要だと示されています。
また、生活の視点は、疾患別ケアの土台にもなります。病気の特性に応じて注意すべきことはあっても、それを実際の暮らしの中でどう支えるかを考えなければ、支援は続きません。だからこそ、疾患別ケアに入る前に、まずは生活を丁寧に見ることが必要なのです。
3つ目は、「家族」です。在宅生活は、ご本人だけで成り立ちません。家族がどのように支え、どんな不安や負担を抱えており、どんな支援体制があるかを見ていくことも、基本ケアの重要な視点です。資料でも、「家族(支援体制)」として、「介護負担の把握」「支援体制」「ケアに参画する人への支援」が示されています。
家族の存在は、支えになる一方で、介護に疲弊していても気づきにくいなどの課題が隠れている場合があります。また、家族ごとに介護への向き合い方も異なるため、家族の状況を見ずに支援を考えると、プランが現実と合わなくなります。家族を“本人を支える背景”としてではなく、生活全体を支える重要な存在として捉える必要があります。研修資料でも、「家族の状況や負担を考えることも重要」と明確に示されています。
また、家族の視点は、介護負担を軽減するためのサービス調整や、密接な情報共有、相談先を明確にするなど、家族の同意を含めた支援体制を整えることが多職種連携にもつながります。
基本ケアで最も大切なのは、「尊厳」「生活」「家族」を別々に考えないことです。資料でも、「3つをバランスよく考える(どれか一つだけでは不十分)」と示されています。
ご本人の希望を大切にしたいと思っても、生活を続けるためには、家族の理解や協力、サービスの調整が必要になることもあります。逆に、家族の負担軽減を優先すると、ご本人が望んでいる生活から離れてしまいます。つまり、尊厳・生活・家族は、それぞれつながり合っている要素なのです。
たとえば、ご本人が「自分でトイレに行きたい」と望んでいる場合、それは尊厳の視点です。実現するためには、夜間も移動しやすい生活動線や、必要に応じた手すり・歩行器などの環境整備が必要になります。これは生活の視点です。さらに、家族が夜間の見守りで疲弊しないよう、介助方法の工夫やサービス調整も必要です。これは家族の視点です。このように、一つの希望を支えるにも、3つの視点が重なり合っています。基本ケアは“生活の土台を整える視点”であると同時に、“支援のバランスをとる視点”でもあります。この土台があることで、次に行う疾患別ケアも、その人に合った形で意味のある支援として組み立てやすくなります。
基本ケアを実際の支援に落とし込む際に役立つのが、基本ケア44項目です。ただし、この44項目は「全部を埋めるためのチェック表」ではありません。研修資料でも、「すべて埋めることが目的ではなく、必要な視点を確認するためのもの」「チェックリストではなく、気づきを増やすためのツール」と説明されています。この44項目は、基本方針→大項目→中項目→想定される支援内容という流れで整理されており、一定の視点で整理することで、支援の抜けや偏りに気づきやすくなります。
基本ケア44項目について、詳しくはこちらから
現場では、どうしても見ている視点が偏ることがあります。身体機能ばかりを見て、生活の状況を見落としてしまう。ご本人には注目していても、家族の負担までは十分に見られていない。あるいは、生活習慣や活動状況、コミュニケーションなど、日々の暮らしに関わる大切な情報が抜けてしまう。資料でも、44項目の一覧を活用することで、「この視点は見ていたか」「ここは確認できているか」と振り返ることができると示されています。介護支援専門員がこの手法を活用することで自分の実践の抜けや漏れを防ぐことに気づきます。
また、44項目は初回アセスメントだけでなく、モニタリングや多職種連携を促す特徴でも役立ちます。生活の全体像を把握する、変化を確認する、新たな課題に気づく、共通の視点で支援を共有する。そうした場面で、基本ケアの視点はとても実務的に役立ちます。研修資料でも、活用場面として「初回アセスメント」「モニタリング」「多職種連携」が挙げられています。個別の状況を確かめることが大切です。
基本ケアは、適切なケアマネジメント手法の1階部分にあたる、すべての支援の土台です。大切なのは、「尊厳」「生活」「家族」という3つの視点を一体として捉えることです。ご本人がこれまでどんな生活を続け、どんな暮らしを望むか。家族はどのように支え、どんな負担を感じているか。これらを一つの流れとして見ることで、支援の方向性はより明確になります。
また、基本ケアの視点を整理することで、次の疾患別ケアもより意味のある支援として組み立てやすくなります。病気や状態に応じた支援を考える前に、まずは生活の土台をしっかり見る。その順番を押さえることが、適切なケアマネジメント手法の大切な考え方です。今回は、この「基本ケア」がなぜ支援の出発点になるのかを見てきました。次回以降は、この土台を踏まえながら、疾患ごとの支援の視点へとつなげていきます。
前回でも触れたように、福祉用具は“商品”ではなく、“生活を支える手段”です。そして、その考え方を実際の提案に結びつけるためにも、基本ケアの視点はとても重要です。研修資料でも、「手すりをつけましょう」ではなく、「この動作が不安定なので、安全に生活できるようにこういう環境を整えることが必要です」と説明できることが大切だとされています。
たとえば、歩行器を提案する場合でも、「歩行が不安定だから必要」というだけでは不十分です。ご本人はどこを歩きたいか、家の中の何に困っているか、転倒の不安はどこにあるか、家族はどのように見守っているか。居宅の環境(通路の広さ等)も確認したうえでこれらを整理して初めて、その歩行器が“生活を支える提案”になります。
福祉用具の提案に基本ケアの視点が入ると、ご本人の希望、生活の流れ、家族の負担を踏まえた説明ができるようになります。それは、ケアマネジャーや地域包括支援センターとの共有にもつながり、単なる商品紹介ではなく、支援としての提案へと変わっていきます。資料でも、福祉用具は「生活課題から考える」「環境も含めて支援する」「多職種で共有する」と整理されています。