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ホーム>介護のお役立ち情報>ケアマネジャーさんへの最新情報>白木裕子の「実践!仕事力の磨き方」>新類型「登録施設介護支援」は、ケアマネジメントに何をもたらす?
日本ケアマネジメント学会副理事長の白木裕子先生が、介護保険制度や社会情勢に対応するためのポイントや心構えを、わかりやすく伝授する「実践! 仕事力の磨き方」。今回は、導入が検討されている新類型「登録施設介護(予防)支援」が現場にもたらす影響などについて、白木先生が予測します。
4月、政府は2027年度の介護保険法などの改正案をまとめました。その案に盛り込まれたのが、ケアマネジメントの新たなサービス類型「登録施設介護(予防)支援」(新類型)です。
政府は2027年度の介護保険法の改正で、要介護3以上の人を主に受け入れる住宅型有料老人ホームを対象とした「登録制」を導入する方針で、新類型は、その入居者に特化した相談支援サービスとなる予定です。
最大の特徴は、原則1割の定率の利用者負担を徴収すること。制度上、新類型は既存の居宅介護支援のケアマネジメントとは別の枠組みに位置付けられるようです。
しかし、該当する住宅型有料老人ホームの利用者や、その担当者であるケアマネジャーにしてみれば、そんな枠組みは関係ない。「これまで自己負担がなかったのが、いきなり有料になる」という現実があるだけです。
登録制や新類型の導入の目的の一つに、いわゆる「囲い込み」(※)の防止があります。
ただ、新類型によって「囲い込み」を防止できるのかについては、いささか不透明な気がします。
「指定する居宅介護支援事業所にケアマネジメントを担当させることを入居の条件とする」といった入居時の「縛り」の禁止であれば、その防止に効果を上げるでしょう。しかし、新たに利用者負担を求めることが、果たして「囲い込み」の抑制につながるのでしょうか。
その一方、居宅介護支援事業所にとっても住宅型有料老人ホームにとっても、新類型導入によって事務負担が増えることだけは、容易に予測ができます。自己負担部分の徴収義務に伴い、請求書や領収書の発行などの事務負担が発生するからです。
新類型の導入は、誰のためになるのでしょうか。現段階では、ちょっと想像がつきません。
それでも、政府は登録制や新類型を導入する方針を固めています。おそらく次の介護保険法改正で、導入は現実のものになるでしょう。
導入が現実のものとなった時に懸念されるのが「登録制の対象となった住宅型有料老人ホームからの居宅介護支援事業所の撤退」です。
居宅介護支援事業所が住宅型有料老人ホームの入居者を担当すると、同一建物減算を課される恐れが常につきまといます。その上、新類型への対応で追加の事務負担が生じるとなれば、担当する上でのリスクと負担があまりにも大きい。撤退を決断しても何の不思議もありません。
当然ながら、居宅介護支援事業所が撤退してしまえば、住宅型有料老人ホームに入居しているのに担当するケアマネが確保できない『難民』が生じることもあり得ます。
住宅型有料老人ホームでの「ケアマネ難民」の発生を防ぐためにも、ケアマネの手間や心理的負担が増大するような形での新類型の導入は、避けるべきと考えます。
ケアマネの手間や心理的負担の増大を防ぐ上で、まず注目されるのは「新類型の利用者への説明責任を主に負うのは誰か」ということです。
当然、主な説明責任をケアマネが負うようなことはあってはなりません。新類型の導入は「相談支援=利用者は無料」という国際的な常識をも変更する大転換ですから、新類型の説明・周知には、国と保険者が責任を持たなければならないでしょう。
もう一つ、「新たに生じる自己負担を誰が徴収するのか」も注目点です。少ない人数で運営している事業所が多い居宅介護支援にとって、徴収という負担は決して軽くはありません。その上、請求ソフトを大きく変更しなければならなくなります。
制度の建付けを考えても、新類型によって生じる自己負担は登録施設が徴収するのが筋だろうと思います。
そのほか「登録制の対象となるのは、どの程度の規模の住宅型有料老人ホームなのか」「登録は義務なのか、努力義務なのか」といったあたりは、ケアマネも注目していた方がいいでしょう。
※家賃や管理費などを低めに設定して入居者を集め、その収入の不足分を賄うため、ニーズを超えた過剰な介護保険サービスを利用者に提供し、過剰な報酬を得るような行為。
新類型の詳細を検討するのは「社会保障審議会介護給付費分科会」。来年春の介護報酬改定に関する議論が行われる有識者会議です。その議論がまとまる今年年末までには新類型の制度設計も、ある程度、明らかになると思われます。