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白木裕子の「実践!仕事力の磨き方」 白木裕子の「実践!仕事力の磨き方」

法定研修にも反映される「適切なケアマネジメント手法」、心がけるべきことは?

日本ケアマネジメント学会副理事長の白木裕子先生が、介護保険制度や社会情勢に対応するためのポイントや心構えを、わかりやすく伝授する「実践! 仕事力の磨き方」。今回は、このほど確定した新たな法定研修を取り上げます。

2024年4月からケアマネジャーの法定研修のカリキュラムが変更されます。大きな特徴といえるのが、「適切なケアマネジメント手法」が、かなり反映された点でしょう。そこで今回は、この「適切なケアマネジメント手法」と、どう向き合い、どう使いこなしていくのかを考えてみたいと思います。

「質を一定に保つ」ことがケアマネジメント手法の目的

「適切なケアマネジメント手法」は、ケアマネジメントの質を一定以上の水準に保つことを目的に作成されたものです。実際、とても丁寧に作り込んだ内容となっているので、特に後進を指導したり、スーパーバイズしたりする主任ケアマネジャーは、きちんと体得しておく必要があります。この手法はケアマネジャーの実務研修にも主任ケアマネジャーの更新研修にも盛り込まれていますので、研修を受ける際には、しっかり体得するよう心がけましょう。ちなみに、この手法については解説動画もあります。併せて視聴すると、より体得しやすいかもしれません。

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自己点検シート、使い方を間違えると逆効果

ただし、「適切なケアマネジメント手法」ばかりを重視し、これまでのアセスメントやモニタリングを変えてしまう必要はありません。

例えば、同手法の「基本ケア」の自己点検シートには40項目あまりのチェック項目が列記されています。便利なツールではありますが、アセスメントもモニタリングも、この項目を機械的にチェックするようなやり方をしては、逆に「適切なケアマネジメント」は実現できません。単なる一問一答ではご利用者の隠れたニーズを見出せるはずがありませんし、ご家族と信頼関係を築けるはずもありません。そもそも、40項目あまりを一度にチェックしようとすると、1時間半ほどの時間が必要です。

「適切なケアマネジメント手法」については、その「基本ケア」の内容を頭に入れておき、必要に応じて活用すると良いでしょう。具体的には、アセスメントやモニタリングの際、先に得たチェック項目に関わるような情報を得たら、きちんと記録しておけばいいのです。このやり方だと、水分摂取量のように具体的な数字が必要な項目を把握するのは難しいと感じる人がいるかもしれません。そうした項目については、アセスメントやモニタリングで得る情報に加えて、デイサービスやショートステイなどからの情報も加えれば、網羅できます。

ケアマネジャーの仕事は、ご利用者の状態にあわせて、さまざまな社会資源に「つなぐ」ことです。この点は、法定研修の改正後も全く変わりはありません。その基本を忘れずに、「適切なケアマネジメント手法」と向き合い、活用してほしいと思います。

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コラム「権利擁護」や「地域共生社会の実現」に関する内容も充実

新たな法定研修では、適切なケアマネジメント手法が積極的に導入されたほか、「高齢者の権利擁護・意思決定」や「地域共生社会の実現」に関する内容を充実させるため、対応する科目の時間数も増えました。ただ、別の科目の時間配分は調整されたため、カリキュラム全体の時間数は増えていません。

白木 裕子 氏のご紹介

株式会社フジケア社長。介護保険開始当初からケアマネジャーとして活躍。2006年、株式会社フジケアに副社長兼事業部長として入社し、実質的な責任者として居宅サービスから有料老人ホームの運営まで様々な高齢者介護事業を手がけてきた。また、北九州市近隣のケアマネジャーの連絡会「ケアマネット21」会長や一般社団法人日本ケアマネジメント学会副理事長として、後進のケアマネジャー育成にも注力している。著書に『ケアマネジャー実践マニュアル(ケアマネジャー@ワーク)』など。

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