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ホーム>介護のお役立ち情報>暮らしと健康ライブラリ>夢の「認知症の根本治療薬」が開発される可能性は?
抗認知症薬は2011年にレミニールとリバスタッチパッチが加わって以来、新薬は開発されておらず、現時点で抗認知症薬は4種類になっています。それらの薬は症状の進行を抑えたり、やわらげたりするもので根本的に治す治療薬ではありません。では、新薬の開発は進んでいるのでしょうか。現時点の状況を紹介します
アルツハイマー型認知症を根本的に治療する夢の薬として「アデュカヌマブ」が米国のバイオジェン社と日本のエーザイが共同開発し、2021年6月に米国で迅速承認され、病気の進行に直接介入する初の根本治療薬として大きな期待を集めました。この薬はアルツハイマー型認知症の原因のひとつとされるタンパク質アミロイドβを減少させる効果があるとされ、日本でも早期承認が期待されましたが、厚労省の専門部会で科学的に効果が証明されていないとして継続審議になりました。
2021年12月末、アルツハイマー型認知症の進行を抑える新薬について米国食品医薬品局(FDA)よりファストトラック(優先承認審査)の指定を受け話題になりました。この新薬「レカネマブ」はバイオジェン社とエーザイが「アデュカヌマブ」の後に共同開発したものです。この薬もアルツハイマー型の原因のひとつとされるアミロイドβが脳内に蓄積されることを抑え、発症と進行を抑える効果が期待できるとされました。
レカネマブの治験(第Ⅲ相ランダム化比較試験)では、日本を含んだアジア・北アメリカ・ヨーロッパの235施設が参加し、薬を投与したグループと生理食塩水の偽薬グループで症状の変化を比べると、薬を投与したグループの脳に蓄積していたアミロイドβが減少したことがわかりました。また治験期間を終えた時点で症状の進行を27%抑制し、患者の歩行・排せつ・食事・着替え・入浴といった日常生活の動きが改善していることもわかりました。
米国ではレカネマブをFDA(食品医薬品局)に「迅速承認」を申請し、2023年1月6日に承認されました。迅速承認後は発表された論文をもとに本格的な承認に向けた申請が行われます。日本ではエーザイが2023年1月16日に承認申請。これを受けて厚生労働省は優先審査の対象品目に指定し、2023年末までに実用化される可能性が出てきました。
ただ、薬が承認されても課題はあります。この薬は早期に投与しないと効果が薄いため、薬を適切に使うためにもしっかりと診断する必要があります。そのためにはアミロイドPETという脳画像を撮影できる施設が必要ですが、現在は施設が少なく、検査費用も高額で保険は適用されていません。また承認されたときに保険を適用する範囲をどうするかという課題もあります。
★ 認知症の約41%は予防が可能!?
認知症を専門とする24人の専門家によって構成された研究チームは、アルツハイマー病学会国際会議(AAIC)2017と医学誌「ランセット」で、9つの生活スタイルが認知症の発症要因の35%を占めることを発表しました。これらの生活習慣を改善し病気を予防・改善することで、認知症を予防できる可能性があると報告しています。その後、3つの要因が追加され、現在では12の要因となっています。
早期教育をしっかり行い、中年期になると難聴、高血圧、肥満、頭部外傷を改善し飲酒を控えることで、認知症の発症率を22%低下させることができるといいます。また、高齢期には禁煙し、うつ病や糖尿病を治療すること、運動や人との交流を増やすこと、空気の良い環境で暮らすことで、認知症の発症率をさらに19%低下できると発表しました。これらにより計算上、認知症の41%を予防できます。
※出典:Dementia prevention, intervention, and care: 2020 report of the Lancet Commission」The Lancet Journal
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監修:一般社団法人 日本認知症予防協会