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白木裕子の「実践!仕事力の磨き方」 白木裕子の「実践!仕事力の磨き方」

もし、ケアプラン有料化が実現したら…そしてケアマネはどうすべき?(前編)

日本ケアマネジメント学会副理事長の白木裕子先生が、介護保険制度や社会情勢に対応するためのポイントや心構えを、わかりやすく伝授する「実践! 仕事力の磨き方」。今回は、改めて導入の是非が議論され始めている「ケアマネジメントへの自己負担」(ケアプラン有料化)が現場にもたらす影響や、現場を担うケアマネジャーが心がけるべきことを、白木先生がアドバイスします。

ケアマネジャーとして長年、活動してきた人は、ケアプラン有料化と聞くと「また、その議論か…」「今度も見送りでしょ?」と思ってしまうかもしれません。実際、介護保険制度改正や介護報酬改定に向けた議論が行われるたび、このテーマは議題に上っていました。

ただ、2027年度の介護保険法改正・介護報酬改定に向けた議論では、ちょっと様相が違うかもしれません。政府は、ケアプラン有料化の是非について、第10期介護保険事業計画が始まる27年4月までに「結論を出す」としているからです。

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プラン有料化の課題その1:居宅介護支援事業所が「コスパ重視」に走る危険性

ケアプラン有料化について、私は反対の立場です。

しかし、今回は、その影響を明確にするため「ケアプラン有料化が実現した場合、どのような影響が生じるか」を、あえて考えてみます。

まず、居宅介護支援事業者の立場で考えてみましょう。現在、多くの居宅介護支援事業所では、次のような方を担当されていると思います。

「認定結果がでたが、介護サービスの利用に同意を得ることができない。でも、認知症があるから時々様子を見に行かないと心配」
「居宅介護支援事業所の利用者宅への距離がかなりあり、時間もガソリン代もかかる」v 「家族の要望が強く、訪問すると時間がかかるし、サービス調整にも時間を要する」

いずれも、他のケースにくらべれば、課題が多く、時間がかかるケースと言えます。

もし、ケアプラン有料化が実現してしまえば、どうでしょうか。上記のような課題が多く、時間もかかるケースは、経営者の視点で考えれば、コストパフォーマンスの観点から、ついつい敬遠したくなるのではないでしょうか。 つまり、ケアプラン有料化は、居宅介護支援事業所の経営者の間に、「コスパを重視し、対応しやすい利用者を選んでしまいたくなる」意識を生みかねないと思うのです。

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プラン有料化の課題、その2:サービスの利用控え

さらに懸念されるのは、これまで無料だったケアマネジメントに料金が発生することで、ご利用者のサービス利用控えが生じる可能性です。

ケアマネジャーはサービスを使いたがらない利用者に対し、粘り強く利用を促す役割も担っています。ケアプラン有料化が実現した後でも、ケアマネジャーの多くは、そうした役割を担い続けることでしょう。

そこで、想像してみてください。サービスの導入に対してようやく納得してくれた利用者が、ケアマネジャーから、これまでの相談支援に対する利用料金を求められた際にどのような感情を抱くのかを。

「いろいろおせっかいなことを言って、サービスを使うよう促してきたけど、今までの相談はお金がかかるのか?」

こんなふうに思ってしまう方も少なくないかもしれません。せっかく前向きになっていたのに、負担を求められたことで、怒ってサービスを使うのを辞めてしまうことだってあるかもしれません。

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白木 裕子 氏のご紹介

株式会社フジケア社長。介護保険開始当初からケアマネジャーとして活躍。2006年、株式会社フジケアに副社長兼事業部長として入社し、実質的な責任者として居宅サービスから有料老人ホームの運営まで様々な高齢者介護事業を手がけてきた。また、北九州市近隣のケアマネジャーの連絡会「ケアマネット21」会長や一般社団法人日本ケアマネジメント学会副理事長として、後進のケアマネジャー育成にも注力している。著書に『ケアマネジャー実践マニュアル(ケアマネジャー@ワーク)』など。

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