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ホーム> ケアマネジャーさんへの最新情報> ケアマネジャーさんの知恵袋 日々のケアを彩るヒント> 【Vol.8】食事と栄養における地域のサポート
監修:看護師・主任介護支援専門員
雨師 みよ子
高齢者や障がいのある方が健康的な生活を送るためには、適切な食事をはじめ、毎日の栄養管理が重要です。しかし、年齢や病状によっては、食材の買い出しや調理、栄養管理が難しくなる場合があります。そのような課題を解決するために、高齢者や障がいのある方を支援する食事や栄養のサービスを活用しましょう。食事支援サービスには、さまざまな種類があり、それぞれのニーズに応じた支援が提供されています。このコラムでは、地域で利用できる介護保険外サービス(インフォーマルサービス)の具体的な食事支援サービスや栄養に関するサポートの例を紹介します。
地域における高齢者への食事支援サービスは、行政による「公的サービス」をはじめ、NPO法人や社会福祉協議会等による非営利の「社会的サービス」、民間企業等による営利を目的とした「民間サービス」に大別することができます。では、実際に行われている食事支援サービスの取り組みについて見ていきましょう。
① 配食サービス(食事宅配サービス)
定期的にバランスの取れた食事を自宅まで届けてくれる民間企業のサービスで、一人暮らしの高齢者や外出が難しい障がいのある方にとって便利です。栄養士が監修した栄養バランスが考慮されたメニューになっており、例えば、糖尿病や高血圧など、特定の病気に配慮したメニューの提供も可能です。また、やわらか食・きざみ食・ムース食など噛む力・飲み込む力が弱い方向けの介護食にも対応しており、ご飯の有無、週に何食など利用数などを選択して申し込むことができます。
② 食事支援見守りサービス
各自治体によって取り組み内容や名称は異なりますが、例えば、大阪市の場合、訪問(通所)介護や家族支援等がなく、見守りを必要とする時間帯に、昼食または夕食の配達を通じて安否の確認を行うサービスで、再配達時にも安否の確認ができない場合には、親族等の緊急連絡先に連絡を行います。ご利用者さまそれぞれの咀嚼、嚥下能力の低下に対応した食事を、希望した内容に応じて配達します。
③ 高齢者食堂
地域住民やボランティアらが主体となって運営する高齢者食堂は、栄養豊富な食事を提供するだけでなく、他のご利用者さまとの交流の場ともなっています。一人暮らしをする高齢者らが集まり、一緒に調理をしたり、誰かに作ってもらって食べたり、食事を共に楽しむことで、社会的なつながりを保つ居場所とすることができます。
④ 訪問調理サービス
調理が難しい方のために自宅で食事を調理してくれるサービスです。朝食・昼食・夕食などの用意や、作り置き、半調理など、ご利用者さまのニーズに沿った料理代行を頼むことが可能で、ご利用者さまは自宅で温かく栄養バランスの取れた食事をとることができます。事業者にもよりますが、時間内であれば、調理の他にも買い物や家事代行サービスも可能なものもあります。
⑤ 食材配達サービス
食材の買い出しができない方に向けて、栄養管理されたキット食材を調理法情報とセットで配送し提供してくれます。配送する食材の一部に調理済メニューを組み合わせる商品などもあり、メニューには一般食のほか、糖尿病や高血圧、高脂血症の食事療法用メニューなども用意されています。買い物に出かけ重い荷物を持つ必要がなくなります。
地域で受けられる栄養管理には、管理栄養士による訪問指導をはじめ、認定栄養ケア・ステーションでの栄養ケア、地域で開催される栄養相談会イベントなどがあり、健康・栄養状態が悪い方をはじめ、噛む力や飲み込む力が弱い方、生活習慣病(糖尿病、高血圧症、脂質異常症など)や特定健康診査により食事療法が必要と判断された方などに対し、個別にて栄養指導を行っています。地域住民の日常生活の場で栄養ケアを実施、提供するための仕組みであり、そのための地域密着型の拠点です。
① 管理栄養士による訪問指導
訪問栄養指導が必要な方や、希望される方に対して、管理栄養士が自宅に伺い、ご利用者さまに合った食事計画や栄養指導を行います。例えば、特定の疾患により特別食が必要な場合や低栄養状態にある方、特定の栄養素が不足している場合、その栄養素を補う食品や調理法の指導を行います。管理栄養士の訪問を希望する場合には、主治医や各都道府県の栄養士会、市区町村の保健センターに相談しましょう。
② 地域の栄養相談会
地域の薬局や栄養士会、ボランティア団体などが主催し、定期的に開催される栄養相談会に参加することで、自分に合った食事法や栄養バランスについて学ぶことができます。例えば、地域のコミュニティセンターや公民館などで、食事に関するワークショップや栄養士による講演会などが行われています。参加方法は、地域の社会福祉協議会や市区町村の健康増進課に問い合わせることで確認できます。
③ 栄養ケア・ステーション
公益社団法人 日本栄養士会に認定された栄養ケア・ステーションは、各地域に栄養改善の拠点を作り、子どもから高齢者まで、地域の人々の食事や栄養の問題、悩みや疑問が生じた時に、気軽に訪れて管理栄養士・栄養士のカウンセリングが受けられる“場”の提供を目的として全国各地に設置されています。活動内容は、食や栄養に関する相談のほか、検診後の食事指導、健康や栄養に関するレシピや献立の考案、在宅療養中の方に対する自宅での栄養食事指導などがあります。
※詳しくは、下記 公益社団法人 日本栄養士会をご覧ください
④ 特定の疾患に対応した食事
糖尿病や腎臓病、高血圧といった病気の方や人工透析中の方に対しては、食事制限を考慮したメニューが必要となりますが、「治療食がよくわからない」「食事内容や調理方法を指導してほしい」「栄養補助食品を教えてほしい」「栄養が偏っていないか心配」といった場合、管理栄養士の指導が受けられる「居宅療養管理指導」があります。どんなことに気を付け、食べてもらうためにはどのような工夫をしたらいいかアドバイスが欲しい時などに利用できます。「居宅療養管理指導」は、介護保険サービスのため、利用できるのは要介護1~5の認定を受けている人です。要支援の方は、「介護予防居宅療養管理指導」が利用できます。まずは、主治医やかかりつけ医に相談してみましょう。
その土地で生産されたものをその土地で消費する「地産地消」。高齢者向けに地産地消を取り入れたお弁当を届けている配食サービス業者もあります。また、地元の食材を使った料理教室やマルシェ(産直市場)をはじめ、地元食材にこだわった食育イベントなど、さまざまな催しも開催されています。
① 地元農産物を活用した配食サービス
地元の農家や漁業関係者と提携し、地元で採れた新鮮な食材を使用した食事をお届けするサービスです。ご利用者さまは地元の旬の食材を楽しめるだけでなく、生産者の見える化による安心感や、食品ロスの削減、土地の食文化の伝承など、地元に貢献するという点からも大きな意義があります。
② 地産地消をテーマにしたイベントや料理教室
地産地消をテーマにした地元の農産物や水産物を使った料理教室やマルシェのほか、食品メーカーや生産者組合等による食育イベントが定期的に開催されています。高齢者や障がいのある方も参加しやすい内容で、管理栄養士や料理の専門家が指導するため、毎日の食事作りに役立つ知識を得ることができます。これらのイベント等に参加するには、地域のコミュニティセンターや各地方の農政局のホームページなどから情報を集めましょう。
デジタル技術等の進化により、地域の食事支援サービスは今後大きく変わる可能性があります。これまで主流だった地域のボランティアや福祉機関による配食サービスや食堂に加え、テクノロジーを活用した新しい形の食事支援が登場することが予想されます。ご利用者さまの健康や栄養状態を遠隔でモニタリングし、そのデータに基づいて最適な食事を提供するなどの仕組みが整備されると予測されます。
デジタル技術を活用した食事支援の可能性
① 遠隔モニタリングと個別対応の食事提供
デジタル技術の一つである「遠隔モニタリング」は、血圧や血糖値、体温などの健康データをリアルタイムで収集し、医療従事者や栄養士に送信する仕組みです。これらのデータを基に、個人の健康状態に合わせた食事プランが作成され、適切な栄養バランスの取れた食事が提供されることになります。例えば、糖尿病の方には血糖値を考慮したメニューが、腎臓病の方には塩分を控えたメニューが提供されるなど、食事の準備に不安を感じている高齢者や障がいのある方も、安心して栄養を摂取できる環境が整ってくると予測されます。
② アプリやオンラインシステムによる食事注文とカスタマイズ
アプリやオンラインシステムを活用することで、ご利用者さまはスマートフォンやタブレットから簡単に食事の注文やカスタマイズができるようになります。日々の食事メニューを選び、栄養成分を調整することが可能になり、アレルギーや個別の好みに合わせた食事の提供が期待されます。例えば、特定の栄養素を重視したメニューを選択したり、食材のアレルギー情報に基づいて食事をカスタマイズしたりすることができるようになるでしょう。
③ 地域福祉との連携とサポート体制
デジタル技術を活用したサービスは、地域の福祉機関や包括支援センターと連携することで、より効果的に運用されると考えられ、地域の福祉機関は、ご利用者さまの健康状態や生活環境に基づいて最適なサービスを提案することが可能になります。これらのサービスを利用するためには、デジタル端末に不慣れな高齢者や障がいのある方に対して、デジタル機器の使い方などをしっかりとしたサポートを行うことが求められます。
デジタル技術を活用した食事支援サービスは、今後さらに多様化し、個別の健康状態に応じた柔軟な対応が可能になると期待されます。遠隔モニタリングやアプリを通じた食事のカスタマイズは、ご利用者さまにとって利便性が高く、栄養管理がしやすいといったメリットをもたらしてくれます。地域の保健所・職能団体・福祉機関や包括支援センターとの連携によって、これらのサービスがより効果的に提供されることが期待されています。地域全体での健康支援と生活の質の向上をめざして、デジタル技術が食事支援にどのように活用されるかが、今後の重要な課題となってきます。