ケアマネジャーさんの知恵袋 日々のケアを彩るヒント ケアマネジャーさんの知恵袋 日々のケアを彩るヒント

ケアマネジャーさんの知恵袋~日々のケアを彩るヒント集~
【Vol.4】在宅ケアを支える医療資源

監修:看護師・主任介護支援専門員 
雨師 みよ子

ケアマネジャーさんの知恵袋 ~日々のケアを彩るヒント集~【Vol.4】在宅ケアを支える医療資源

在宅でのケアを支えるための医療資源の利用は、ご利用者さまの生活と健康維持において不可欠です。このコラムでは、訪問診療、訪問看護、リハビリテーションサービスなど、さまざまな医療サービスを活用して、より良い在宅ケア環境を提供する方法についてご紹介します。

(1)医療との連携の意義と目的

高齢者の増加に伴い、一人暮らしや高齢者のみの世帯をはじめ、認知症状を持つ方も増加している中、このような背景から要介護状態になった高齢者は、介護だけでなく、複数の疾患を抱えている場合も多く、適切な医療サービスを受けることが必要となっています。そのため、ケアマネジャーにおいては、アセスメントに基づき、介護のみの提供体制を整えたとしても、病状の変化などにより、介護の必要性に変化が生じるなど、医療との連携はもはや必要不可欠になっています。

医療従事者がご利用者さまに接する時間は、通常月に1~数回程度と限られるのに対し、介護職はサービスでの多くの時間をともに過ごすことが多いことから、「トイレ移乗の際に以前より介護が必要になった」など、ご利用者さまの日々の生活状況や病状の変化に気づくことができます。このような場合、ケアマネジャーがご利用者さまの生活に関する情報を医療従事者に伝えることにより、病状の変化や副作用による症状を早期に発見できるなどの成果が期待されます。ご利用者さまの加齢に伴う老衰の進行だと思われていた全身状態の悪化が、実は新たな疾病を併発し、的確な治療がされていれば、治療が可能だったという事もあり得ます。ケアマネジャーは、ご利用者さま本人や家族、そして介護職から、日々の食事や排泄、睡眠、移動、清潔、喜び(生活を支える6つの視点)から、生活に関する変化について継続的に本人・家族やサービス事業所等からの情報からモニタリングすることが重要になります。

医師・訪問看護師・ケアマネジャー・ご利用者様のイラスト

ケアマネジャーは、ご利用者さまのこれらの生活に関する情報の変化があれば、すみやかに医師や訪問看護師に伝達し、その変化に基づいた適切な診断や治療方針、診断の見直しを支援します。ケアマネジャーは、医療のこれらの判断を的確に居宅サービス計画の作成に反映させるとともに、チーム関係者と情報共有することでサービスが実施されます。ご利用者さまや家族のニーズに合わせた医療サービスの提供は、在宅での生活の質を向上させるための鍵となります。

(2)さまざまな医療専門職との連携

医療と介護の連携の目的は、ご利用者さまが必要な医療と介護を同時に、かつスムーズに受けられるようにすることです。この連携により、ご利用者さまは健康管理と日常生活のサポートを同時に受けることができ、生活の質の向上につながります。医療機関と介護サービス提供者が情報を共有し、一貫したケアプランを作成することにより、ご利用者さまの病気の早期発見や治療、予防介護の恩恵を受けやすくすることにつながります。

ケアマネジャーとして、ご利用者さまに最適な在宅ケアを提供するために、さまざまな医療専門職と、情報共有することが必要です。

■医師との連携

医師とご利用者様のイラスト

ケアマネジャーは、ご利用者さまの健康状態や療養計画、服薬状況について、定期的に医師とコミュニケーションを取り、認定の更新時には特に情報を共有します。ご利用者さまの状態に応じた治療内容についての連携が大事です。新たな医療ニーズに迅速に対応できるよう、医師と緊密に協働します。また、ご利用者さまや家族の希望に応じて、他科受診時等は、主治医にその旨を連絡し、他医療機関との連携を図り、その診断内容を情報共有し、必要に応じて居宅介護支援に反映させます。

■訪問看護師との連携

訪問看護師とご利用者様のイラスト

訪問看護サービスを計画に位置づける際、訪問看護ステーションの看護職等(PT,OT,ST)との連携は欠かせません。訪問看護個別計画書作成においてのケアの内容からご利用者さまの日常生活支援や医療ケアのニーズを明確にします。また、看護師からのフィードバックを受け、必要に応じてケアプランを調整し、ご利用者さまの健康管理が適切に図ることができます。

■薬剤師との連携

薬剤師とご利用者様のイラスト

薬剤師と連携し、ご利用者さまの薬剤管理計画を共同で作成します。これには、薬の適正使用や副作用の監視が含まれます。薬剤師の提供する情報を用いて、ご利用者さまや家族に薬の正しい服薬を指導します。

■リハビリ専門職との連携

リハビリ専門職とご利用者様のイラスト

医師の指示のもと、ご利用者さまの物理的・認知的能力に応じた個別のリハビリテーション計画をリハビリ専門職と一緒に策定します。定期的にリハビリの進捗を評価し、効果的な介入が行えるよう専門職と連携を保ちます。

■管理栄養士との連携

栄養管管理士とご利用者様のイラスト

ご利用者さまの栄養状態を評価し、管理栄養士と協力して栄養計画を作成します。栄養面での問題がご利用者さまの健康に影響を与えないよう、食事内容の定期的な見直しを行います。

■歯科医師・歯科衛生士との連携

歯科医師とご利用者様のイラスト

定期的な口腔ケアが重要であることを認識し、歯科医師や歯科衛生士と連携してご利用者さまの口腔健康状態を維持します。特に高齢者や食事摂取に問題を抱えるご利用者さまに対して、適切な口腔ケアの計画を立て、継続的なフォローアップを行います。

(3)ケアマネジメントの場面ごとに必要な医療との連携

ケアマネジャーには、必要な医療機関との連絡・調整機能が求められます。ケアマネジメントの場面ごとに必要となる医療との連携をご紹介します。

1.平時

ご利用者さまが訪問看護や通所リハビリテーション等の医療サービスを希望している場合には、ご利用者さまの同意を得て、主治医等の意見を求めなければならないとされています。ケアマネジャーは、主治医等との円滑な連携が図れるように、主治医等に対して居宅サービス計画の交付を行います。

医師・看護師・ご利用者様のイラスト

■主治医等の指示を確認するサービス

  • ・訪問介護
  • ・訪問リハビリテーション
  • ・通所リハビリテーション
  • ・居宅療養管理指導
  • ・短期入所療養介護
  • ・定期巡回・随時対応型訪問介護看護(訪問看護サービスを利用する場合に限る)
  • ・看護小規模多機能型居宅介護(訪問看護サービスを利用する場合に限る)

また、ケアマネジャーは、居宅サービス計画の実施状況を把握するために、居宅サービス事業者と緊密な連携を図り、ご利用者さまの課題の変化が生じた場合には、すみやかに連絡が行われる体制を整えておきます。ご利用者さまの服薬状況や口腔機能、心身または生活の状況にかかる情報は、主治医や歯科医師、薬剤師が医療サービスの必要性を検討するうえで有効なものとなります。そのため医師等の助言の必要があると判断したものについては、情報を共有しましょう。心身または生活の状況にかかる情報には、以下のようなものが挙げられます。

■心身または生活の状況にかかる情報

薬の服用を拒絶する女性のイラスト
  • ・薬が大量に余っている、または複数回分の薬を一度に服用している
  • ・薬の服用を拒絶している
  • ・服用が終わっていないのに、新たな薬が処方されている
  • ・口臭や口腔内出血がある
  • ・体重の増減が推測される、または見た目に変化がある
  • ・食事量や食事回数に変化がある
  • ・下痢や便秘が続いている
  • ・皮膚の乾燥や湿疹等がある
  • ・必要であると思われるリハビリテーションの提供が行われていない

2.急病時・急変時

救急搬送時のイラスト

ケアマネジャーは、事故や救急搬送などの事態が発生することを想定して、家族や親族等の緊急連絡先はもちろん、主治医や訪問看護師、薬局等の連携機関の緊急連絡方法をあらかじめ確認しておく必要があります。

ご利用者さまに急病が発生した場合には、病院での新たな診断や治療方針の変更などにより、病状によっては居宅サービス計画の見直しが必要となります。診断内容や治療方針、医療処置やケアの必要性、経過の見通し等の情報に基づいて、居宅サービス計画の変更について検討します。また、調整が必要となりますが、可能であれば緊急時カンファレンスを開催し、主治医や訪問看護師等と、善後策やその後の治療ケア方針について話し合いましょう。

ご利用者さまの容体が急変した場合、救急搬送を行うかどうかについては、医療の必要性や緊急性に応じて医師やご利用者さま、家族によって決定することになりますが、その際にご利用者さまが有する背景(リロケーション・ダメージなど)も考慮に入れる必要があります。また、入院を回避できる状況を整えることが可能であれば、環境を変えることなく対応するほうが、ご利用者さまの混乱や事故、合併症の併発、認知症の悪化など、二次的トラブルの発生を防ぐ可能性が高いことも知っておきましょう。

3.入院時

入院時のイラスト

担当看護師や医療ソーシャルワーカーに対して、ご利用者さまの心身の状況(疾患や病歴など)や生活環境(家族構成や生活歴、家族介護者の状況など)、介護サービスの利用状況について情報を提供します。治療方針の決定に役立つ可能性があるので、ご利用者さまや家族の医療に対する意向や希望等について把握していることがあれば、その情報も提供しましょう。また、退院時に備えて、ご利用者さまの情報収集を始めることが重要になってきます。

4.退院時

退院時のイラスト

退院時には、入院前と比べてご利用者さまの心身の状態が大きく異なっていることも少なくないため、入院先に複数回足を運んで、ご利用者さまの状態や意向の把握に努めるとともに、診断や治療方針に関する情報を収集し、居宅サービス計画を再構築する必要がありあす。

医療ソーシャルワーカーや退院調整看護師、担当医師や看護師から、退院後も継続する必要がある医療的措置や介護に及ぼす影響などについて情報を入手します。さらに、ご利用者さまの自宅家屋の構造などの条件を考慮し、退院後の福祉用具の手配など、新たな居宅サービス計画の原案を作成します。担当医とのカンファレンス等を通じて、原案を提示、すり合わせを行ったうえで、居宅サービス計画を完成させていきます。

(4)家族の休息が必要になった時

家族の休息が必要になったとき。例えばご家族の介護疲れ・冠婚葬祭・ご家族の急な入院・ご家族の出張・旅行など。

在宅介護では、介護者である家族に身体的・精神的に大きな負担がかかっている場合が多く、日々の介護で疲労が蓄積され、頼れる人や所がわからずに無理をしてしまい、体調を崩してしまう人も少なくありません。そこで、利用したいのが「レスパイト(休息)」の役割を担ってくれる通所介護や短期入所サービスです。

家族に代わって、介護サービス事業者が代行して介護を請け負い、希望に合わせて、数時間の利用から宿泊まで、幅広いサービスが利用できます。一時的であっても介護生活から離れる時間を作ることで、介護されているご家族は心身ともにリラックスすることができます。

但し、医療措置を必要とするご利用者さまや病状の不安定な方については、通常の通所介護施設や短期入所サービスでは、受け入れが困難な場合もあります。そのような場合には、地域における在宅医療の後方支援を担っている病院などに、期間を区切り入院を依頼する方法もあります。

医療機関と連携して家族の休息を適切に確保することで、医療処置を必要とするご利用者さまであっても、長期間にわたって在宅で療養を続けるための支援につながる可能性があります。また、終末期や死亡時には、家族が感じる精神的な負担を軽減するためのサポートが特に重要となってきます。

在宅ケアにおけるデジタルヘルスの活用

デジタルヘルスを表したイラスト

デジタルヘルス技術の進化により、医師や医療機関の負担軽減や、在宅医療の質や安全性の向上が期待されています。デジタルヘルスとは、IoT、AI、ロボティクスなどを活用した健康・医療・介護といったヘルスケア領域のサービスや製品を指しており、コロナ禍を経て、医療・介護の供給体制のひっ迫や遠隔・非接触ニーズが高まったことで、デジタルヘルスの活用が進化しています。

デジタルヘルスの代表的なものとして挙げられるのが、オンライン診療です。オンライン診療は、ネットワークを介して診療が受けられる仕組みです。診療の予約から処方薬の受け取り手続きまでをパソコンやスマートフォンで完結できるため、患者さんの大幅な負担軽減につながります。オンライン診療が一般に定着すれば、患者さんは移動の負担がなく受診できるようになります。疾患によっては難しい場合もありますが、待ち時間や移動時間が減ることで、患者満足度の向上につながるとともに、医師にとっても、オンライン診療は予約が前提となるため、スケジュール管理しやすくなるといった利点があります。

ウェアラブルデバイスのイラスト

また、近年ではウェアラブルデバイスの普及にも注目が集まっています。ウェアラブルデバイスとは、身体に装着して利利用できるデジタル機器のことです。ユーザーの血圧や脈拍、睡眠時間などの健康状態を測定する機能を持つウェアラブルデバイスは、個人でのヘルスケアに役立ちます。昨今ポピュラーとなっているのは、腕時計型の「スマートウォッチ」です。さらに、個人向けのヘルスケアアプリ等も登場しており、例えばチャットによる健康医療相談やオンライン診療の予約や受診、病院検索、一般用医薬品などの購入といった機能が備わっていることから、あらゆる角度から健康増進や予防に役立てられています。

これまでは体調が優れないなど、病気になってからの受診が中心でしたが、デジタルヘルスの活用が進むと、セルフメディケーション(病気の予防やAIによる判定、認知症予測など)が中心へとシフトすることでしょう。オンライン医療やモニタリングシステムを利用することで、医療専門家は患者さんの健康状態をリアルタイムで把握し、迅速な対応が可能となるため、在宅ケアなど、自宅に居ながら医療や介護サービスの提供が必要な方にとっても、ケアの質が高まっていくことが期待されています。

[出展・参考:介護支援専門員実務研修テキスト(上巻)]

 ケアマネジャーさんの知恵袋 日々のケアを彩るヒントに戻る

登録無料 メルマガ登録で 介護に役立つ情報をゲット! ご登録で「介護で役立つ特定疾病の基礎知識」、「オリジナルボールペン」をプレゼント中! 無料会員登録はこちら登録無料 メルマガ登録で 介護に役立つ情報をゲット! ご登録で「介護で役立つ特定疾病の基礎知識」、「オリジナルボールペン」をプレゼント中! 無料会員登録はこちら

おすすめコンテンツ

白木裕子の「実践!仕事力の磨き方」

白木裕子先生が介護保険制度や社会情勢に対応するためのポイントや心構えをご紹介!

ケアマネジャーさんの疑問・質問

ケアマネジャーさんから寄せられた疑問・質問とその解決策をご紹介!

ケアマネジャースキルアップ講座

ケアマネジメントオンライン®タイアップ企画!ケアマネジャーに求められるスキルとは?

シルバー産経新聞

介護保険改正情報、新しいサービス、新しい福祉用具情報などをわかりやすく紹介!

このページのトップへ