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vol.14父に、どう伝える? vol.14父に、どう伝える?

老人ホーム入居を前向きに承諾してくれた父。
けれど、やはり家族と離れて暮らすということは、
大事(おおごと)だった。

登場人物 登場人物

主婦ブロガーカータンイラスト

  • 主婦ブロガーカータンイラスト
  • カータン父ヒロシイラスト
  • カータン母イクコイラスト
  • カータン姉かお(50代)イラスト

カータン姉かお(50代)イラスト

ケアマネジャーさんからは、
ショートステイを利用して
事前にホームに慣れておくことの大切さ
をアドバイスされていた。
特に父は目が見えないから、なおさらだ。
ちなみに、特養に入居する人の多くが、
慣らし目的を兼ねて、
普段からショートステイを利用している
そうだ。

職員さんと顔馴染みになれますし順番も回ってきやすいと言われていますただ…ヒロシさんの場合は…環境の変化でせん妄になった場合目が見えない分混乱されるかもしれませんそんな理由から父は今までーショートステイを利用したことがない

実家にホームの担当者が来て、
姉が説明を受けた。

ショートステイで自宅に帰されるケースというのは…どういう場合なんでしょうか?過去にあったケース夜中に帰ろうとするなだめる隙を見て窓から脱走を試みるこのときはすぐにご家族に連絡して迎えに来てもらいました命にかかわることでしたので

「とにかく1週間のショートステイを
クリアしないと!」
いろいろ説明を受けた姉が心配まじりに報告してくれた
けれど、この時点では私は全く心配していなかった。
だって、父は本当に明るくて社交的だから。

いや~パパなら絶対大丈夫だよ!!だよね 私もそう信じるよあまり心配してないでいろいろ計画立てようよまずは何が食べたいか聞こう!そうね 残りの2週間有意義に過ごしてもらおう

姉と私は、ショートステイでの合格を前提に、
必要な荷物の用意など入居の準備を進めつつ、
父に好きなものを
存分に食べてもらおうと計画した。

最近食が細くなったとはいえ食べることが大好きだからねうん!食べたいもの食べさせて送り出してあげたいよねねえホームに入るまで食べたいものは何でも言っていいんだよいいんだよ パパはいつも通りででもさ!ほら!!!せっかくだからそうか?じゃあ… 寿司とうなぎと一ステーキに天ぷらと一すき焼きに一

毎日実家へ行き、毎回父の好物を届けた。
父はそれを待ちわびるひな鳥のようだった。

うなぎさばいてもらったよ

並行して入居の荷造りをし、
みんなで昔話もいっぱいした。

ご馳走ざんまいの日々が続きなんだか納豆と卵と海苔とご飯が食べたいなあ父がそんなことを口にした良かった!!すべて消化できた入居予定日は明後日だパパ!明日はみんな集まってパパの送別会するよそうか!!挨拶も考えておかないとな!

入居の前日は、家族全員が実家に集まり、父の送別会。
馴染みのお寿司屋さんにお願いして、
美味しいお寿司を握ってもらった。
父は終始ご機嫌。

お寿司を食べてビールも飲みケーキも食べて頼みもしないのに歌も歌った父は終始ご機嫌だったみんなで写真も撮ったコロナ禍が落ち着いたらすぐ会いに行くねきっとすぐ落ち着きますよみんな今日はありがとねパパははしゃぎすぎてちょっと疲れたからそろそろ2階で休むよ

とても楽しい時間だった。
笑顔の父を見て、私たちもうれしかった。

・・・と思ったのも束の間。
帰る前に父に挨拶をしに行った夫が、
「お父さんが泣いている」と戻って来た!
みんなで急いで父の部屋に向かう。

パパ?急いで父の部屋に向かった

父が泣いていた。
父のあだ名は「泣き虫ヒロシ」。
テレビを見ては泣き、小さな子どもを見ても涙ぐむ。
でも、こんなに子どものように
わんわん泣く父を目にするのは初めてだった。

パパ~どうした?ホーム嫌になっちゃった?違う…ただみんなと離れるのがパパは…寂しいんだよ……私たちも寂しいよ

送別会の日、父がかぶっていた帽子は今もまだ実家に置いてある。少し埃をかぶった三角帽子を見ると、あの日の父の涙を思い出す。

【書籍紹介】

  • 親のトリセツ本の表紙

    『健康以下、介護未満
    親のトリセツ』

    ( KADOKAWA )

    体に不自由は出てきたけど、ガッツリ介護が必要というレベルではない…そんな“健康以下、介護未満”な両親との付き合い方が紹介されています。

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  • 介護のど真ん中親のトリセツ本の表紙

    『お母さんは認知症、
    お父さんは老人ホーム
    介護ど真ん中!親のトリセツ』

    ( KADOKAWA )

    母は認知症が深刻化、父は老人ホームに入り、いよいよ本格化した親の介護に奮闘するカータン家族のエピソードがいっぱい。

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