4大認知症の特徴(1)「アルツハイマー型認知症」

認知症には大きく分けて4つの種類があり、「4大認知症」と呼ばれています。
そのうちの1つ「アルツハイマー型認知症」は、認知症の中で最も割合が多く、全体の約60%を占めるほど。主な症状である「記憶障害」によって、過去の記憶が断裂し、思い出せなくなってしまったり、日付や時間、場所などが認識できなくなる「見当識障害」の症状によって、外出先で自分のいる場所が分からなくなり、迷ってしまうことなどがあります。症状は比較的穏やかに進行することが多いです。
原因と症状
■原因

脳内の特殊な異常タンパク質が増えることによって、海馬(かいば:記憶を司る部分)や頭頂葉(とうちょうよう:位置や空間を把握する部分)を中心に、広範囲で脳が萎縮することによって発症する。
■症状
●初期から記銘力(きめいりょく:新しい経験を受け入れ、覚え込む機能)が低下する
●記憶障害・判断力の低下などの中核症状が広く現れる
●症状の進行は比較的穏やか
症状例
■軽度
■軽度
●年月日の認識が困難になる
●買い物時に支払いがうまくできなくなる
●不必要な買い物をしてしまう
■中度
■中度
●場所の認識が困難になる
●季節に合った服が選べなくなる
●行動・心理症状が出てくる事が多い
(動き回る、抵抗してしまう)
■重度
●被害妄想や幻覚などが出現する
●身近な人の認識が困難になる
●身体機能の低下も伴い、生活全般に介護が必要になる
症状へのアプローチ方法
●混乱しないよう、すぐ先の行動をわかりやすく示す
●活動を分割し、単純化する
●慣れた環境や、その方の普段の行動に近い状況になるよう配慮する
●体が覚えた記憶を用い、役割を果たす
●コントラストがあるもので理解を得る
監修:森ノ宮医療大学
教授 横井 賀津志