健康づくりに役立つ入浴の5つの作用(後編)
前回は入浴の5つの作用のうち、主な3つを紹介しました。温熱効果により血液の循環がよくなって身体全体が温まり、筋肉のコリや関節の痛みが軽減し、リラックス効果も得られます。また、身体に受ける水圧作用により、全身の血行がよくなります。さらに、肩まで水に浸かると浮力によって体重が軽くなるので緊張した筋肉がほぐれます。こうした3つの作用の他、次の2つの作用による健康効果も期待できます。具体的に紹介していきましょう。
入浴の5つの作用
4. 粘性・抵抗性
水中では水の抵抗があり、地面の上のように素早く歩けません。粘性とは粘り気、水への抵抗のことです。お風呂の中では水の抵抗を受けるので、筋トレをすると効果があります。水中で手足を動かしたり、軽くストレッチしたりしてみましょう。
5. 清浄・入眠作用
お湯に浸かると毛穴が開き、皮膚表面の汚れを落とすことができます。身体を洗わず、お風呂に入るだけでも皮膚はきれいになるので、毎日入浴しましょう。
また、入浴して身体が温まった後、1~2時間すると体温が急速に下がってきます。体温が低下すると眠りを誘い、良い睡眠につながります。
このような入浴の作用により、健康に良い効果が得られます。毎日当たり前のように過ごしている入浴時間を、もっと楽しんでみませんか。
目的別の入浴法
疲れを取りたい日や、ストレスを解消したいときなど、その日の気分や目的に合った効果的な入浴法があります。試してみましょう。
疲れを取りたい日や、ストレスを解消したいときなど、その日の気分や目的に合った効果的な入浴法があります。試してみましょう。
- ●ストレスを解消したいとき
40℃以下のぬるい湯に、ゆっくりと長く浸かりましょう。副交感神経が優位になり、リラックスする効果があります。 - ●筋肉が疲れているとき
42~43℃の熱めの湯に入ると、血行がよくなり、疲労を取り除く効果があります。 - ●足のむくみや疲れを取りたいとき
40℃前後のややぬるめのお湯に、身体を深く沈めます。ゆっくりと長時間かけて入りましょう。 - ●ゆっくり眠りたいとき
38~40℃のぬるめの湯にゆっくり入ります。身体の緊張がほぐれて落ち着いた気分になります。 - ●肌をきれいにしたいとき
40℃前後の、ややぬるめの湯に入ります。肌をふやけさせないように、短時間で済ませることが大切です。また、石鹸でゴシゴシこすらずに軽めに洗い、入浴後に保湿クリームを塗りましょう。 - ●これから頑張りたいとき
42~43℃の熱いお湯に短時間入ります。交感神経を刺激して心身の緊張を高め、活動的な気分になれます。
福祉用具を活用し安全・快適に入浴
このような入浴の作用により、心身共に健康を保つことにつながりますが、まずは浴室が安全な場所であることが大切です。快適で安心してお風呂を楽しむために、シャワーチェアーや浴槽用手すりなど、福祉用具の活用を検討してみましょう。
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参考サイト:
日本浴用剤工業会
https://www.jbia.org/knowledge4.html
監修:医療法人思温会
医師 西川 泰章