高齢者に適したお酒の嗜み方
お酒好きにとっては、年を重ねても飲めることは本当に楽しいものです。一人で飲むよりも、みんなとコミュニケーションをとりながら、お酒を嗜むと特に楽しいでしょう。まさに、お酒が健康寿命を伸ばす「百薬の長」になります。しかし、年齢を重ねると若いときのような量が飲めなくなります。適量を決めて飲むようにしましょう。ここでは、高齢者に適したお酒の嗜み方についてまとめました。ぜひ参考にして、お酒と上手くつきあってください。
お酒は適量に
定年退職や配偶者や友人との別れなどを機に、生きがいをなくし孤独感から不安になり、毎日深酒をしたり、昼間から一人で飲んだり、お酒と上手につき合えなくなる人がいます。
また、年を取ると認知機能が低下し、自分が飲んだ量が把握できなくなることもあります。一方で、適量を守って飲めば、友人や知り合いとのコミュニケーションの機会が増え、楽しいライフスタイルが維持できます。
では、お酒の適量とはどれくらいでしょう。
適量には個人差があり、その日の調子によって酔いの回り方も違います。厚生労働省が推進する国民健康づくり運動「健康日本21」によると、節度ある適度な飲酒は1日平均純アルコール約20gとされています。
純アルコール約20g=ビール(アルコール度数5%)なら
- ●中びん1本
- ●日本酒(15%)1合
- ●焼酎(25%)0.6合
- ●ウイスキーダブル(43%)1本
- ●ワイン(14%)1/4本 程度
高齢になると、若いときより血中アルコール濃度が上がりやすく、酔いが早く回ります。この基準より飲む量を抑えてください。
食事や水と一緒に
空腹のときにお酒を飲むと、アルコールの吸収が早くなり、酔いがすぐに回ってしまいます。食事をしながら飲むと、胃の粘膜の上に食べ物の層をつくり、胃を荒らさずアルコールの吸収を遅らせることができます。
また、お酒のつまみには塩分が多く含まれており、食物繊維が不足しがちです。アルコールによってミネラルやビタミンが失われやすいので、ごぼう・れんこん・大豆などの野菜類を多く食べましょう。また、アルコールを分解する肝臓はたんぱく質が必要なので、卵・肉類・魚類・豆類なども食べましょう。
アルコール度数の高いウイスキーや焼酎などは胃腸への刺激が強く、血中アルコール濃度が上昇するので酔いが回りやすく肝臓への負担が大きくなります。水割りにするか、ストレートで飲むときにはチェイサーと一緒に飲みましょう。日本酒や焼酎には「和らぎ水」を添えると、胃の刺激を和らげます。
飲酒時の注意点
高齢者が飲酒するときには、次のようなことにも注意してください。
- ●足がふらつくまで飲まないこと。転倒すると大けがにつながります。
- ●降圧剤などの薬を服用している人は、薬の作用が強くなったり弱くなったりします。薬を常用している場合は、お酒を飲んでもいいか病院で相談しましょう。
- ●飲酒直後の入浴やサウナは血圧を急上昇させるので、アルコールが抜けてから入浴してください。脳卒中を引き起こす可能性があります。
- ●健康診断で、肝機能の健全度のバロメーターである「γ-GTP(ガンマGTP)」の数値が男性で60、女性で30を超えていれば、お酒は控えたほうがよいでしょう。
- ●味わいながらゆっくり飲む・休肝日をつくる。寝酒を避けることも大切です。
参考サイト:
厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-04-001.html
監修:NPO法人日本サービスマナー協会
マナー講師 河中 寛子