子育てを取り巻く環境は、今と昔で大きく変わっています。祖父母の時代に当たり前だった常識が、現在では非常識となっている場合も多々あります。知らずに昔のままの方法でお孫さんの世話をしていると、パパ・ママとの認識の違いからトラブルになってしまうかもしれません。今と昔の子育ての違いを知り、適切な方法で育てることがお互いの安心にもつながります。では具体的に、どのような違いがあるのかを例に挙げて紹介していきます。
子育て「昔の常識と今の常識」
●出産後すぐの沐浴
昔:赤ちゃんが生まれたら、すぐに沐浴。
今:体温の低下防止や、皮膚のバリア機能を保つため、沐浴はせず拭くのみで。
●母乳とミルク
- 昔:「丈夫で強い子に育つ」「ママの体型が崩れない」などといわれ、
ミルクをあげる人が多かった。
- 今:まずは母乳をあげる。
母乳が足りているか、足りていないかの判断は医師が行う。
ママのいないときは、搾乳した母乳、またはミルクで対応。
●授乳
- 昔:3時間おきに授乳。
- 今:母乳の場合は、
赤ちゃんが欲しがったときに授乳。
●卒乳
- 昔:1歳までに断乳。
- 今:赤ちゃんが自然と離れるまで授乳しても問題ないといわれている。
●日光浴
- 昔:母子手帳には、「1日10分、足先から」という記載があった。
- 今:赤ちゃんを外気や温度差に慣らすために外気浴を奨励。
紫外線の強い10時~14時を避け、長袖や帽子、赤ちゃん用の紫外線予防クリームをつけて、直射日光を受けないように注意する。
●抱っこ
- 昔:「少し泣かせてからの方が、母乳やミルクをよく飲む」「泣かせておくと肺が強くなる」「抱き癖がついたら、すぐに泣くようになる」などと言われ、泣いてもすぐに抱かなかった。
- 今:自己肯定感や、人への信頼感につながるので、
泣いたらすぐに抱っこした方がいい。
●白湯
- 昔:お風呂上がりや散歩から帰ったら、まずは白湯を。
- 今:お風呂上がりなどの水分補給には白湯でなく、母乳を与える。
ミルクを飲ませている場合は、ママパパが与えているもの(白湯やノンカフェインの麦茶や番茶など)を与える。
●果汁・離乳食
- 昔:生後2カ月から果汁を与え、4カ月から離乳食を開始。
大人が食べ物をかみ砕いて与え、箸やスプーンを共有していた。
- 今:離乳食の開始前は、母乳、ミルク以外はとくに必要ない。
離乳食の開始時期は5~6カ月から、ゆっくりと。
大人から虫歯菌が移るので、食べ物をかみ砕いて与えない。
スプーンや箸は子ども専用のものを用意。
●お風呂上がりのスキンケア
- 昔:ベビーパウダーを使用していた。
- 今:保湿のためにローションなどを全身に塗る。
●アレルギー・予防接種
- 昔:アレルギーを訴えるお子さんは、ほとんどなかった(医学的に知られていなかった)。予防接種の数も少なかった。
- 今:アレルギーを訴えるお子さんが増えている。
生後2カ月から予防接種がはじまり、摂取する種類も増えている。
●洋服
- 昔:冬は寒いといけないので、たくさん着せていた。
- 今:なるべく薄着にして着せ過ぎない。
●歩行器
- 昔:まだ歩くことができない赤ちゃんでも、歩行器に入れて遊ばせていた。
- 今:子ども自身の発達を重視し使用しない。
●おむつ外し
- 昔:早めに外していた。
- 今:子どもの様子を見ながら、徐々に進める。
●うつぶせ寝
- 昔:「頭の形がよくなる」「寝つきがよくなる」
といわれて推奨されていた時代もある。
- 今:乳幼児突発死症候群の予防のために、医学上、必要なとき以外は仰向けを推奨。
●育児日記、情報収集
- 昔:本や雑誌などが主な情報源。育児日記はノートに手書き。手続き、予約は、窓口で対面で行っていた。
- 今:情報収集、育児日記、手続き、小児科の予約もすべてスマホで。情報収集は、YouTube、Instagramなどからが多い。
●男性の育児休暇
- 昔:夫は仕事。里帰り出産をするなど、祖父母がメインで産婦をサポート
- 今:2023年4月育児・介護休業法が改正になり、父親も赤ちゃん誕生後、8週間以内に4週間産後パパ育休を取得することができる。
また、子どもが1歳の誕生日を迎える日まで、育児休業を取得することができる。
●お産の方法
- 昔:陣痛を経験しないお産は、お産ではない。
子どもが我慢できないのは、帝王切開だから。
- 今:痛みを和らげる和通(無痛)分娩が増えている。
自然経膣分娩、帝王切開、和通(無痛分娩)は、どれも立派なお産で、子どもの性格に影響はない。
●だっこひも
- 昔:新生児は横抱きで、抱っこ紐は外出時に使うもの
- 今:新生児用の抱っこ紐は、縦抱きのものもある。また、抱っこ紐は外出時だけでなく、寝かしつけ、泣き止ませなど家の中でも使用する。
●ミルク
- 昔:粉ミルクのみ
- 今:粉ミルク、粉ミルクを固めたキューブ状のもの、液体ミルクがある
●子どもを自転車に乗せるときは、必ずヘルメットを着用
- 昔:大人も子どもも、ヘルメット着用の義務なし。
- 今:子どもも大人も、ヘルメットを着用を義務化
※昔の状況は時代によっても変わります。
いかがですか。
昔の状況とは随分と変わってきているのではないでしょうか。
最初は戸惑うかもしれませんが、ぜひ試してみてください。
参考サイト:
NPO孫育て・ニッポン
https://www.magosodate-nippon.org/10kajo/
さいたま祖父母手帳
https://www.city.saitama.jp/007/002/012/p044368.html
監修:NPO法人 孫育て・ニッポン
理事長 棒田 明子
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