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はじめてのおうち介護

03

知らなかった!

3ステップで移乗が
ラクになる秘訣

車いすからベッドへの移乗を介助するとき、「あっ!」と思った経験はありませんか?
自宅で介護をしていると、ちょっとした移動の瞬間に
大きなリスクが潜んでいることに気づきます。
特に「移乗動作」は、転倒やケガのリスクが高まる要注意の場面です。
移乗は、単に“立ち上がる”だけでなく、“向きを変えて座る”までを含む一連の動作です。
そのすべてに目を向けることで、ご本人もご家族も安心して介助に取り組むことができます。

1家族が気づけるポイント

次のような様子が見られたら、「移乗に不安があるかも?」というサインです。

Check

  • 車いすから立ち上がるときに、
    支えもなくふらついている
  • 身体の向きを変えているときに、
    よろけることがある
  • ベッドに座ったときに「ドスン」と
    勢いよく落ちるように座ってしまう
ヘルスレントからの
アドバイス
原因の背景は「タイミング」と「支え」の不足。
これらの小さな兆候を見逃さず、“分けて動く”
習慣づけを促すのが家族の大切な役割です。

2移乗の基本とポイント(部分介助)

「一気に立って、そのまま座る」──実はこの流れが、転倒や転落の原因になります。
安全に移乗を行うためには、「立つ」「向きを変える」「座る」といった動作を
一つひとつ分けて行うことが重要です。

  1. STEP
    1
    立つ

    ゆっくりと
    車いすから
    立ち上がります

    • 肘かけ、フットレストの上げ忘れに注意
    • 介助者は腰をまげたまま無理に持ちあげようとしない

    ※ブレーキのロックフットサポートに乗ったままの立ち上がりに注意

  2. STEP
    2
    向きを変える

    立った状態で
    足踏みをくりかえし、
    お尻をベッドの
    方向へ変えます

    • 「ゆっくりで大丈夫」「一旦座ろうか」など声がけをしながら手順を確認
  3. STEP
    3
    座る

    ゆっくりと
    ベッドの奥に
    座らせます

    • ベッドの高さ・足元の滑りにも注意
ヘルスレントからの
アドバイス

“動作を区切る”だけで、
ふらつきやバランスの崩れがグッと減ります。

「立ち上がる」「方向を変える」「座る」の
順番を守れば、動きが安定します。

3家族ができるサポート

「ベッド→車いす」も「車いす→ベッド」も、動作の基本は同じです。
以下のポイントに気をつけて、サポートしましょう。

①声かけの工夫 「じゃあ立ってみようか」「次に向きを変えようね」と一つずつ伝ましょう。 ②無理に支えようとしない 「支える」より「手順を確認して一緒に行う」ことが大切です。 ③ベッドの高さに注意 高すぎても低すぎても危険なので、身体に無理のない高さに合わせましょう。(目安:ベッドは車椅子より約5cm高く)
ヘルスレントからの
アドバイス

ベッドの高さ調整が難しいときは
福祉用具専門職に相談を!

座った姿勢のままお尻を滑らすことのできる
トランスファーボードを使うと、
お互いの負担が軽減されます。

足元が滑らないようにマットの設置など、
環境面の工夫も重要です。

4まとめと行動のきっかけ

動作を一つずつ分けて行うだけで、安心感はぐっと高まります。「これなら大丈夫」と感じてもらえる介助を心がけることが大切です。また、「できることを、できる形で」続けていくためには、家族の見守り方も重要なポイントになります。ご本人が自分でできることを支えるのは、家族のあたたかな見守りです。
まずは、“一度止まる”ことから始めてみましょう。

【監修】

関西医療学園専門学校 理学療法学科教員/理学療法士/
公益社団法人 大阪府理学療法士会会長 熊崎 大輔