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白木裕子の「実践!仕事力の磨き方」 白木裕子の「実践!仕事力の磨き方」

居宅介護支援での生産性向上-誤解しがちな事、忘れてはならないポイント

日本ケアマネジメント学会副理事長の白木裕子先生が、介護保険制度や社会情勢に対応するためのポイントや心構えを、わかりやすく伝授する「実践! 仕事力の磨き方」。今回は、居宅介護支援の現場でも注目されはじめている生産性の向上について、誤解しがちな注意点と、忘れてはならないポイントを、白木先生がアドバイスします。

誤解され、独り歩きする「生産性向上」

「生産性向上」という言葉を居宅介護支援の現場でも耳にするようになりました。ただ、この言葉が誤解されたまま独り歩きしているよう感じることが良くあります。

典型的な誤解は「担当件数が多い人ほど、生産性が高い」でしょう。まじめにご利用者と向き合っているケアマネジャーなら、この誤解の危険性はすぐに理解されることでしょう。

「より多くの人を担当する」ということは、「より多くの記録と書類を作成する」義務が生じるということでもあります。当然ながら「より多く」ばかりを追いかけ続ければ、どこかで書類や記録の作成が追い付かなることも想定できます。また、そのような事態になり、例えば運営指導が入る際に、かなりの残業をして書類の整備や点検を行うことや、書類などの不具合により運営基準違反と判断され、返戻を命じられるという事態に陥ってしまうと本末転倒です。

「効率よく仕事をこなすことが生産性の向上」という誤解、コストパフォーマンスが高いことが生産性の向上ととらえている方も少ないないようです。

実際にある在宅医師から「『みんなが集まってサービス担当者会議を開くのは、時間のムダ。生産性を向上させるためにもサービスの内容を担当者同士で照会するだけにしよう』と呼びかけるケアマネが増えたように思える」という話を聞きました。

照会であれば、参加者のスケジュールを調整したり、会議の記録を作ったりする手間は省けます。しかし照会だけでは、ご利用者と家族は完全に蚊帳の外となるため、利用者本位のケアマネジメントの実現など、望むべくもありません。そして、サービス事業者の間で「顔が見える連携」を深めることもできません。

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大切なのは「働きやすい環境を創る」という基本を守ること

最近、特に多いのが「生産性向上=ケアプランデータ連携システムを導入」「生産性向上=事務員の配置」という、短絡的な誤解です。

いずれも国が全力で後押しする施策ですが、「本気で生産性を高めたい!」と考えているのであれば、新たなツールを導入したり、人を雇ったりする前に業務の見直し(業務の棚卸を)してみましょう。

それは「働きやすい職場」を実現する上での課題を洗い出し、対応策を講じることです。

当然のことですが、各事業所が抱える課題は千差万別。スタッフの残業が多いことで頭を痛めている管理者さんもいれば、新人の教育に時間が割かれ過ぎることに悩まされている管理者さんもいるでしょう。中には何年たっても所属するケアマネの持ち件数の平準化ができず、職場全体の雰囲気を悪いという事業所もあるかもしれません。そして、担当件数が増えず、売上が伸びないことで、胃が痛い思いをしている管理者さんは、たくさんいるはずです。

例えば「残業が多い」という課題を解決するには、「残業が多い人と少ない人は、一体、何が違うのか」を分析する必要があります。もしかすると残業が多い人は、記録作業が苦手なだけかもしれません。もし、そうした背景があるなら、ICレコーダーと文字起こしのアプリの活用だけで効率化が図れます。

担当件数を平準化するにしても、ご利用者を増やすにしても、新人の教育をうまく行くようにするのも、まずは事業所の課題を洗いだす作業が優先だとおもいます。また、事業所の業務マニュアル・新人教育マニュアルなどが整備されていることも業務の効率化・平準化に欠かせないツールだとおもいます。

まずは事業所の抱える課題を洗い出して、「課題を解決し、働きやすい環境を作る」という基本を守ることこそが大切なのです。

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「事務員の配置」「データ連携システムの導入」を進めるためのポイント

最後に「事務員の配置」と「ケアプランデータ連携システムの導入」を進める上でのポイントなどを考えたいと思います。

まず「事務員の配置」ですが、居宅介護支援で求められる事務は、ご利用者家族やご利用者からの電話や関連文書の管理、作成、給付管理など、それなりに特殊な業務ばかりです。それだけに「元ケアマネや元ヘルパーを事務員として採用し、電話対応や給付管理、書類の整理などの業務を幅広く担ってもらう」方法が有効です。

ただし、事務員を雇うのであれば、事務員に任せる仕事とケアマネがこなす仕事の区分けを明確し、事業所内で共有しておく必要はあります。

また「ケアプランデータ連携システム」については、サービス事業所が少ない地域であれば、導入しやすいでしょう。逆に、多種多様な事業所と連携しなければならない都市部では、導入は難しいといえます。

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コラムケアプランデータ連携システム、導入率は約1割

厚生労働省は「ケアプランデータ連携システム」の導入を後押しするため、2025年6月から導入費用を無料とするキャンペーンを実施しています。その効果もあり、導入する事業所は増加傾向にあります。ただ、導入率は9.8%(2025年8月末時点)にとどまっているのが現状です。

白木 裕子 氏のご紹介

株式会社フジケア社長。介護保険開始当初からケアマネジャーとして活躍。2006年、株式会社フジケアに副社長兼事業部長として入社し、実質的な責任者として居宅サービスから有料老人ホームの運営まで様々な高齢者介護事業を手がけてきた。また、北九州市近隣のケアマネジャーの連絡会「ケアマネット21」会長や一般社団法人日本ケアマネジメント学会副理事長として、後進のケアマネジャー育成にも注力している。著書に『ケアマネジャー実践マニュアル(ケアマネジャー@ワーク)』など。

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