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白木裕子の「実践!仕事力の磨き方」 白木裕子の「実践!仕事力の磨き方」

近ごろ話題の集合住宅の『囲い込み』-何を変えるべきか、そして現場のケアマネができることは(前編)

日本ケアマネジメント学会副理事長の白木裕子先生が、介護保険制度や社会情勢に対応するためのポイントや心構えを、わかりやすく伝授する「実践! 仕事力の磨き方」。今回は、住宅型有料老人ホームにおける「囲い込み」と呼ばれる過剰なサービスや、それが現場にもたらす影響、現場を担うケアマネジャーが心がけるべきことを、白木先生がアドバイスします。

多様化する高齢者の集合住宅-まずは全体を網羅する法整備を!

厚生労働省の「有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会」では、主に住宅型有料老人ホームにおける「囲い込み」について、具体策などを検討したようです。

この問題意識は大切だと思います。ただ、国の有識者会議である以上、もっと大所高所の視点に立った議論が必要ではないでしょうか。

大所高所とは、「住宅型有料老人ホームだけでなく、高齢者向けの集合住宅全体を視野に入れた議論をし、対応策を検討してほしい」ということです。

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高齢者向けの集合住宅としては、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅に加えて、看取りが必要な人を積極的に受け入れる「看取りハウス」、複数人の単身世帯の高齢者が共同生活を送る「高齢者向けシェアハウス」などがあります。

多様な住まいが存在すること自体は歓迎すべきことでしょう。ただ、多様な住まい全体を網羅した法律は、どこにも存在しません。また、あるきまった省庁が一元管理しているわけでもありません。

それだけに、悪質な事業者を法によって規制することが難しいと考えられます。

既に現場からは、高齢者向けの集合住宅の現場が貧困ビジネス化しているという声も聞こえています。まず国は、多様化した高齢者の住まいの現状を整理し、法規制を整えるべきでしょう。住宅型有料老人ホームの「囲い込み」だけに注目するのは、あまりに視野が狭いと思います。

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「お金にならない高齢者」は入居できない現実

貧困ビジネスとは言えないものの、困った事態は、既に既に生じています。

端的にいうと「お金になる」高齢者じゃないと、入居できない住居が出始めているのです。

実際に経験したり、聞いたりした例では、重いパーキンソン病の方や難病を患っている人でなければ、入居できない有料老人ホームがありました。また、看取りハウスでも、「胃ろうを造設している人でないと入れません」と言われたこともあります。

仮に入居できたとしても「訪問看護を必ず使う」や「口腔内の状態は悪くないのに訪問歯科を使う」「居宅療養管理指導(薬剤管理)が不可欠」など、指定のサービスを使うよう求められるケースも珍しくありません。ケアマネも、こうしたサービスを使うことを前提としたケアマネジメントを強いられます。

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白木 裕子 氏のご紹介

株式会社フジケア社長。介護保険開始当初からケアマネジャーとして活躍。2006年、株式会社フジケアに副社長兼事業部長として入社し、実質的な責任者として居宅サービスから有料老人ホームの運営まで様々な高齢者介護事業を手がけてきた。また、北九州市近隣のケアマネジャーの連絡会「ケアマネット21」会長や一般社団法人日本ケアマネジメント学会副理事長として、後進のケアマネジャー育成にも注力している。著書に『ケアマネジャー実践マニュアル(ケアマネジャー@ワーク)』など。

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