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ホーム>介護のお役立ち情報>ケアマネジャーさんへの最新情報>白木裕子の「実践!仕事力の磨き方」>自治体とケアマネ、乖離するケアプラン点検への意識…現場はどうする?
日本ケアマネジメント学会副理事長の白木裕子先生が、介護保険制度や社会情勢に対応するためのポイントや心構えを、わかりやすく伝授する「実践! 仕事力の磨き方」。今回は、「ケアプラン点検」を取り上げます。
「自治体職員とケアマネジャーがともに検証確認しながら、『自立支援に資するケアマネジメント』とは何を追求し、その普遍化を図り、健全なる給付の実施を支援する」。厚生労働省がまとめた「ケアプラン点検支援マニュアル」では、その基本姿勢について、このように明記されています。
でも、実際のケアプラン点検は、そんなに前向きで建設的な取り組みとなっているでしょうか。そこで、私が所属する「認定ケアマネジャーの会」ではケアプラン点検に期待することついて、会員にアンケート調査を行いました。その上で、自治体関係者を対象にケアプラン点検について、同様のアンケートをした先行調査(※)と結果を比較しました。
二つの調査を比較すると「ケアプラン点検による介護給付費の適正化について、自治体は大いに期待しているものの、ケアマネジャーは、ほとんどあてにしていない」「ケアプラン点検に伴うケアマネジメントの質向上、相互のコミュニケ―ションの促進についても、ケアマネジャーは自治体ほど期待していない」といった結果が示されました。
双方の間の大きな“温度差”が浮き彫りとなったといえるでしょう。
※令和4年3月:NTT データ経営研究所「AI を活用した効果的・効率的なケア プラン点検の方策に関する研究」報告書
さらに、認定ケアマネジャーの会の調査では、ケアプラン点検を受けたことがあるケアマネジャーに、期待した「気づき」が得られたかどうかや、改めてケアプラン点検を受けたいかどうかも聞いています。
その結果は次の通りです。
・47.0%が「期待通り」と答えたが、「期待通りではない」も40.0%いた。
・改めてプラン点検を受けたいかという質問では、「受けたい」は27.6%。一方、「受けたくない」は34.3%となり、「受けたい」という答えを上回った。
残念ながら国が思い描くような、前向きで建設的なケアプラン点検は、決して当たり前の存在ではないことが調査で証明されてしまったように思えます。
こうした状況が生じた理由は、いろいろ考えられます。少なくとも自治体・ケアマネジャーのいずれかだけに原因があると断じることはできません。
ただ、自治体側の姿勢が、影響している側面があることは否定できません。事実、ケアプラン点検の場であるというのに、減算の可能性をほのめかしたり、ケアプラン点検と実施指導を同時に実施したりする自治体もあると聞いています。ケアプラン点検を、一方的な給付抑制の場と考えているから、そうしたことができるのでしょう。そんな自治体の元では、前向きなケアプラン点検を行えるはずがありません。
ならば、そうした自治体とケアプラン点検で向き合わざるを得ないケアマネジャーは、どうすればいいのか―。
まず、ケアプラン点検の場で、理不尽な発言や要求があった場合、「その発言・要求は、介護保険法の何を根拠としての発言・要求ですか」と確認してください。
特に、先に述べたような減算をにおわすような発言があった場合は、ケアプラン点検は給付抑制ではなく適切なケアマネジメントの実現を目指していることを目的としていることや、その点は国もケアプラン点検支援マニュアルで明示していることを、きちんと伝えましょう。
もう一つの工夫は、報告を文書でもらうことです。中には、ケアプラン点検の報告などを文書で残そうとしない自治体もあるようですが、そういう相手でも、ケアマネジャー側はあくまで文書でもってやり取りをつづけていくべきです。
そして何より、点検をうけるケアマネジャーと自治体関係者を1対1で向き合わせるのではなく、管理者が同席することが大切です。もちろん、点検の前には担当するケアマネジャーだけでなく、管理者も該当するケアプランなどを確認しておくべきです。
ケアプラン点検は記録を見直したり、自身を見つめ直したりするための取り組みでもあります。やり方と目的を間違わなければ、現場のケアマネジャーにとっても大変、有益な存在となりえます。
それだけに、「ケアプラン点検とは、ケアマネジャーと自治体が、ケマネジメントプロセスが適正かどうかを確認し、よりよいやり方を探る」ための取り組みであることを自治体側と共有し、前向きに取り組んでいただきたいです。
既に触れた通り、厚生労働省は、自治体のためにケアプラン点検支援マニュアルの活用方法を公表しています。そこには点検の基本姿勢として「現場の負担を考慮し資料などは必要最小限に」「保険者とケアマネジャーがともに確認しあう姿勢で臨む」「ケアマネジャーが大度点検を受けてみたいと感じることができるよう、保険者として継続的に支援する」といったことが明記されています。現場のケアマネジャーも、ケアプラン点検を受ける際には目を通して置くべきでしょう。そして、あまりに逸脱した対応があった場合は、この活用方法を根拠とし、対応の変更を求めてもよいかもしれません。
株式会社フジケア社長。介護保険開始当初からケアマネジャーとして活躍。2006年、株式会社フジケアに副社長兼事業部長として入社し、実質的な責任者として居宅サービスから有料老人ホームの運営まで様々な高齢者介護事業を手がけてきた。また、北九州市近隣のケアマネジャーの連絡会「ケアマネット21」会長や一般社団法人日本ケアマネジメント学会副理事長として、後進のケアマネジャー育成にも注力している。著書に『ケアマネジャー実践マニュアル(ケアマネジャー@ワーク)』など。