ケアマネジャーの知恵袋 適切なマネジメント手法 ケアマネジャーの知恵袋 適切なマネジメント手法

【Vol.1】適切なケアマネジメント手法とは?
2階建て構造で生活全体を整理し、
支援の方向性を「見える化」する

監修:看護師・主任介護支援専門員 
雨師 みよ子

ケアマネジャーさんの知恵袋 ~適切なケアマネジメント手法~【Vol.1】適切なケアマネジメント手法とは?2階建て構造で生活全体を整理し、支援の方向性を「見える化」する

介護や支援の現場では、「何から支援すればいいか」「その人に本当に必要な支援は何か」と迷う場面は少なくありません。ご本人の状態だけでなく、生活環境、家族の状況、これまでの暮らし方、さらに疾患の特性など、多くの情報を踏まえて考える必要があるからです。支援する側にとっては、幅広い視点が求められ、またご本人・家族・支援者それぞれの思いが異なるため、判断が難しくなりやすいのが実際です。

そして、情報が多いほど、支援の視点がばらついたり、目の前の課題だけに対応してしまいがちです。たとえば「転倒が心配だから手すり」といった対応は、必要な支援である一方で、生活全体の中で整理されていないと、本来の希望や生活の流れに合わないこともあります。こうした“支援の迷い”を減らし、方向性を整理するための考え方が「適切なケアマネジメント手法」です。研修資料でも、この手法は「何をするか」ではなく「どのように考えるか」を整理し、支援を組み立てるための考え方として位置づけられています。

適切なケアマネジメント手法とは、どんな考え方なのか?

「適切なケアマネジメント手法」と聞くと、少し専門的で難しく感じるかもしれませんが、考え方の中心はとてもシンプルです。それは、病気だけではなく、その人の暮らし全体を見ながら支援を整理していくことです。
この手法は、ご本人の生活全体像を的確に捉えるために、1階の「基本ケア」と2階の「疾患別ケア」を組み合わせて考える枠組みとして整理されています。

適切なケアマネジメント手法

基本ケアは、ご利用者さまの生活の継続を支援する基盤となる支援の内容であり、高齢者の機能・生理の視点を踏まえ想定される支援内容やそれを検討する必要性、さらに多職種連携による情報取集において必要な視点、連携すべき専門職の例を整理しています。疾患別ケアは、疾患に応じて特に留意すべき支援の内容を体系的に整理したものです。この2つを組み合わせることで、ケアの抜け漏れを防ぎ、継続的な見直しにつなげ“実務に使える手法”として活用する考え方です。

つまり、適切なケアマネジメント手法は、「この状態ならこの支援」とすぐに結論を出すためのものではなく、まずはその人がどんな暮らしをし、どこに困っていて、何を大切にしているのかを整理する。次に、疾患の特性やリスクを重ねて、支援の優先順位を考えます。そうすることで、ご本人にも家族にも無理のない、その人らしい支援につなげていく。そんな“支援を考える順番”を整えるための方法です。
研修資料でも、支援を整理する枠組みを持つことで、生活全体の中で課題を捉え、支援の優先順位や方向性を考えやすくなると示されています。

生活全体を整理する共通の枠組み

また、この考え方はケアマネジャーだけではなく、福祉用具専門相談員、介護職、医療職、リハビリ職など、さまざまな立場の人が同じ方向を向いて支援するための“共通言語”にもなります。どの職種もご本人を支えていることに変わりはありませんが、見ている視点が違うと、支援の方向性がばらつくことがあります。そのときに、生活全体を整理する共通の枠組みがあることで、多職種で話し合いやすくなり、支援の理由も説明しやすくなります。

(1)なぜ今、「支援を整理する考え方」が必要なのか

支援が難しくなる理由はいくつもあります。たとえば、ご本人の思いと家族の希望が一致しない場合です。ご本人は「自宅で今まで通り暮らしたい」と思っていても、家族は「安全のためにできるだけ動かせたくない」と考えることがあります。また、医療職は疾患管理を、介護職は日常生活のしやすさを重視し、福祉用具専門相談員は動作や環境に注目するなど、職種ごとに見ている視点が異なることもあります。 研修資料でも、支援が難しくなる背景として「優先順位に迷う」「ご本人と家族の意向が異なる」「視点が人によって異なる」「情報量が多い」と整理されています。

なぜ今、「支援を整理する考え方」が必要なのか

さらに、ご本人の状態が複雑であればあるほど、「転倒予防」「栄養」「服薬」「活動量」「家族の負担」など、確認すべきことが増え、どこから整理すればよいか分からず、その場その場の対応になりやすくなります。 こうした状況では、支援の方向性が曖昧になり、ご本人や支援者お互いにとっても分かりにくい支援となります。だからこそ必要なのが、「何を見て、どう整理して、どの順番で考えるか」を支える枠組みです。

適切なケアマネジメント手法は、そのための“共通言語”のような役割を持っています。支援を感覚だけで進めるのではなく、一定の視点で整理することで、支援の質を安定させ、多職種連携も進めやすくなります。これは専門職にとってだけでなく、ご本人や家族に対して「なぜこの支援なのか」を説明しやすくするという意味でも大切な考え方です。

「何を見て、どう整理して、どの順番で考えるか」を支える枠組み

(2)「2階建て構造」で考えると、
支援の方向性が見えてくる

適切なケアマネジメント手法では、支援を「2階建て構造」で整理します。1階が「基本ケア」、2階が「疾患別ケア」です。これは、まず生活を土台として捉え、その上に疾患の特性に応じた支援を重ねていく考え方です。資料でも、1階は「日常生活・困りごと・生活環境」といった生活の視点、2階は「疾患特性・リスク・経過・再発予防」といった疾患の視点として整理されています。

1階が「基本ケア」、2階が「疾患別ケア」です

ここで大切なのは、「生活→疾患」の順番です。先に疾患だけを見てしまうと、「脳梗塞だから」「認知症だから」といった対応に傾きやすくなります。しかし、本来見るべきなのは、その人がどんな暮らしを送りたいのか、どこで困っているのか、何が続けられて何が難しくなっているのかという“生活の実際”です。その上で、疾患特性やリスクを想定することで、支援ははじめてその人らしい形になります。研修資料でも、「生活を土台にして、その上に疾患を重ねることで支援の方向性が明確になる」「疾患から考えると生活が見えない」と示されています。

たとえば、「歩行が不安定」という情報だけを見ると、すぐに歩行器や手すりの導入を考えがちですが、実際には「自宅のどこの歩行で不安定なのか」「夜間トイレに行くときなのか」「段差が原因なのか」「何に不安を感じているか」など、生活場面を丁寧に見なければ、本当に必要な支援は見えてきません。研修資料でも、「どこで歩くのか」「なぜ歩く必要があるのか」「どのような生活をしているか」といった視点で整理することの大切さが挙げられています。この“生活から整理する”視点が、2階建て構造の一番のポイントです。

「どこで歩くのか」「なぜ歩く必要があるのか」「どのような生活をしているか」といった視点で整理することの大切さ

(3)基本ケアの土台は
「尊厳」「生活」「家族」の3つの視点

1階にあたる基本ケアでは、大きく3つの柱を意識します。それが、「尊厳(意思決定の支援)」「生活(これまでの生活の尊重と継続の支援)」「家族等への支援」です。研修資料でも、基本ケアの視点として「尊厳・生活・家族」が示されています。 まず「尊厳」の視点では、生活上の将来予測、どのように暮らしたいか、何を大切にしてきたかの意思決定過程を確認します。支援は安全性だけでなく、ご本人の思いや選択を土台に考える必要があります。 次に「生活」の視点では、これまで続けてきた生活習慣や役割、活動などをできるだけ維持できるように支援を組み立てます。暮らしの継続は、その人らしさを守るうえで欠かせません。

1階にあたる基本ケアでは、大きく3つの柱を意識します。

最後に「家族」の視点では、介護負担や支援体制、関係機関との連携を含めて考えます。在宅生活はご本人だけでなく、家族や周囲の支えとのバランスの中で成り立っています。 重要なのは、この3つの柱を別々に考えないことです。ご本人の希望を尊重することは大切ですが、それを実現するためには生活環境の整備が必要であり、時には家族の協力やサービス調整も欠かせません。逆に、家族の負担を軽くすることを優先すると、ご本人の意思や生活の継続が置き去りになります。したがって、「尊厳」「生活」「家族」を一体で見ることが、基本ケアの出発点になります。

(4)想定される支援内容44項目は
“チェックのため”ではなく“気づくため”に使う

基本ケアをより具体的に整理するために、想定される支援内容44項目の視点が用意されています。起こりえる状況に対して効率的にアセスメント、モニタリングしたり、なぜその項目が必要なのか「支援の概要、必要性」が示されていることから根拠をもって説明、判断する構造になっていることから、大切なのは「全部を埋めること」が目的ではないということです。
研修資料でも、44項目は全ての要介護高齢者に対して行うもので、チェックリストではなくケアマネジメントの基礎となる手法でご利用者さまにとって重要度の高いと思われる項目から”あたり”をつける“気づきを増やすためのツール”とされています。生活の全体像を把握し、見落としを防ぎ、変化や新たな課題を見つけるために仮設をもって情報収集・分析に活用するものです。 基本ケア44項目について、詳しくはこちらから

基本ケアをより具体的に整理するために、44項目の視点

福祉用具は「商品」ではなく「生活を支える手段」

適切なケアマネジメント手法を理解すると、福祉用具の見方も変わります。福祉用具の目的はあくまで、ご本人が安心してその人らしい生活を続けられるようにすることです。想定される支援内容4の転倒・骨折のリスクや経緯の確認などは、研修資料 “支援としての提案”に変えていくことが大切だと示されています。

福祉用具には、安全を確保する、動作を支える、生活範囲を広げる、家族の負担を軽減するといった役割があります。たとえば手すりは、転倒予防だけでなく、移動しやすくなることで自立支援にもつながります。ベッドやマットレスは、起き上がりや移乗など、介助のしやすさにも影響します。歩行器や車いすは、単なる移動手段ではなく、生活範囲を保ち、外出や社会参加の機会を広げる支援にもなります。

福祉用具は「商品」ではなく「生活を支える手段」

これらの用具は、「状態に合うものを選ぶ」だけでなく、「どんな生活を支えたいか」という視点で考えることが大切です。そのため、福祉用具の提案は「この状態だから」ではなく、「どの生活場面で困っているか」「どのような動作を支えたいか」「家族の介助負担はどうか」といった生活課題から出発することが大切です。資料でも、「手すりをつけましょう」ではなく、「この動作が不安定なので、安全に移動することで生活できるように、こういう環境を整えることが必要です」と説明できることが重要になります。

福祉用具は「商品」ではなく「生活を支える手段」

こうした考え方に立つことで、福祉用具の提案は“商品提案”ではなく、“支援としての提案”になります。これは、ダスキンの営業現場においても、地域包括支援センターやケアマネジャーとの信頼関係づくりにつながる重要な視点です。

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