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ケアマネジャーさんの知恵袋
~疾患別ケアマネジメント事例~


VOL.12 生活習慣改善で内臓機能不全を予防・管理する方法
~ご利用者さまの「気づき」と「行動変容」を支えるケア~

監修:看護師・主任介護支援専門員
雨師 みよ子

ケアマネジャーさんの知恵袋 ~疾患別ケアマネジメント事例~【Vol.11】内臓機能不全の理解と支援のポイント~からだの中のサインを見逃さない~

内臓機能不全は、加齢や生活習慣の影響で徐々に進行することが多く、目に見えないまま生活の質(QOL)を低下させます。特に糖尿病、高血圧、心疾患、腎疾患などは、生活習慣と深く関わり、予防も悪化防止も「日常の積み重ね」が鍵となります。ケアマネジャーは、ご利用者さまの保有する疾患に関する医療的管理だけでなく、QOLの向上のため生活習慣を見直す支援を通じて、ご利用者さまの自己管理をサポートする重要な役割を担います。今回は、生活習慣の改善から内臓機能不全を予防・管理する方法をご紹介します。

(1)ふだんの体調管理と活動性の維持

要支援、要介護状態となる場合、必ず原因疾患が存在します。その多くが内臓の機能不全にかかわる疾病に何らかの関与があります。糖尿病、高血圧、脂質異常症などは生活習慣に深く関係しており、疾病の状態や重症度にかかわらず、食事、運動、生活リズムなどをバランス良く適正に保つことが重要です。これらの疾病は、安定している場合は生活に支障をきたすことは少ないですが、重篤な疾患に陥ることもあり、平素よりかかりつけ医と連携し、病状の悪化を防ぐことが望まれます。

ふだんの体調管理と活動性の維持

一方、心疾患、呼吸器疾患、腎臓病、肝臓病などで病態が進行している場合は、重度化や病状の悪化に十分配慮したケアが求められます。いずれにせよ、病状の把握が必要であり、かかりつけ医との連携で重度化防止不可欠となります。

疾病の状態により大きく異なりますが、生活習慣病のみの場合は生活制限が少なく、むしろ積極的に活動することが望まれます。閉じこもりにならず、十分に活動を促す支援が必要となります。「買い物へ行く」「掃除をする」「庭に出る」など、無理なく継続できる活動を支援します。また、フレイル予防のためリハビリ専門職と連携して、筋力維持や姿勢改善を目的とした簡単な運動メニューを提案することも有効です。
心不全、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、腎不全などでは、それぞれの病態に応じた活動制限があることを理解する必要があります。循環器疾患の再発予防・重度化予防や疾患のリスクの管理ができるよう、かかりつけ医と連携し、可能な活動を理解し支援します。

ふだんの体調管理と活動性の維持

(2)社会とのつながりと社会資源の活用

内臓の機能不全があるとしても、社会とのつながりを妨げるものではありません。病態、病状に応じ、それぞれのリスクや注意すべき点などの情報をかかりつけ医から得ることにより、その人らしい活動と社会における役割を維持できるような支援が可能となります。社会との関わりを持ち続けることは、身体機能だけでなく、精神面の安定にもつながります。特に内臓疾患を抱える高齢者は、通院や治療をきっかけに社会的孤立に陥ることがあります。ケアマネジャーは、地域の資源を活用しながら地域生活の「つながり」を支える役割を果たします。

疾病の管理には、疾病の理解、食事や運動などの生活習慣の改善、そして適切な服薬管理が重要です。地域の病院が行う疾患に関する研修会や、医師会などが行う市民公開講座などが、疾病の理解に役立つ社会資源となります。要支援者、要介護者が参加できなくても、家族などが参加できるよう情報提供することも有効です。

社会とのつながりと社会資源の活用

■社会資源の活用例

  • ・地域包括支援センター:保健師及び経験のある看護師、社会福祉士、主任介護支援専門員が配置されているので、多職種連携の窓口として、生活支援・健康相談も行います
  • ・ボランティア団体・通いの場:活動意欲や外出機会の維持に役立ちます
  • ・リハビリ型デイサービス:身体機能の維持と社会参加を両立します
  • ・栄養士・保健師との連携:食事改善や健康相談を行います
社会とのつながりと社会資源の活用

また、服薬管理においては、薬剤師などの専門職のかかわりの重要性が増してきます。かかりつけ医のみならず、歯科医師等や医療関係職種との協働が、要介護者等の支援に不可欠です。

(3)内臓の機能不全等の特性に応じたケアマネジメント

ケアマネジメントのプロセスを活用し、段階的に支援を組み立てることが効果的です。以下は、内臓疾患を抱える高齢者への支援の具体的な流れです。

① インテーク(初回面談)

高齢者の生活の維持には、疾病治療は不可欠ですが、常に最優先の課題となるわけではありません。「どのように生活してきたか」「何がつらいか」「どんなことを大切にしているか」など、生活状況の聞き取りをするうえで、治療状況や服薬状況などを確認しながら、病状を理解するように努めます。インテークはご利用者さまとの信頼関係を構築していくための最初の関係づくりであり、いきなり病気のことばかりを尋ねるのではなく、生活状況の背景・原因の一部として疾患確認をする姿勢が必要です。

② アセスメント(情報収集と分析)

異なる内科的疾患を複数治療していることもあるため、疾患ごとの本人の症状や治療状況を把握します。医療的課題のニーズの優先順位を検討するには、疾患が慢性期で安定している状態か、あるいは不安定で治療方法が変化している状況かなどを確認することが重要です。高齢者の治療において服薬管理は重要ですが、本人の状況によっては難しいこともあり、現在の服薬状況を家族等から正確に把握するように努めます。
また、医療機関への受診状況や頻度、手段なども確認します。ご利用者さま本人が自身の病気について理解していないことも多いため、家族のほか、必要に応じて主治医をはじめ医療関係職種に、病状等を確認し、アセスメントを行う必要があります。

アセスメント(情報収集と分析)

③ ケアプラン原案作成

内科的疾患が安定している場合は、状態の維持を図るために生活上の支援について可能な内容をプランに盛り込むことが重要です。医療機関への受診、服薬管理、状態の変化時の対応など、病状や疾患それぞれのリスクに応じた内容を検討します。ご利用者さまが望む生活の実現のために疾患の管理で再発予防の視点が重要であり、状態に応じてその優先順位が変化することを理解し、ケアプランを作成します。

④ サービス担当者会議

ご利用者さまや家族、かかりつけ医及び医療関係職種、優先される介護サービス関係者が欠かさず参加することが望ましく、特にかかりつけ医から病状の説明、予想すされるリスクなどの説明を受け、関係者が共通の理解を得ることが重要です。
服薬の支援は、薬剤師などと連携し、服薬支援の方法や残薬の量、かかりつけ医への報告の手段などを確認することができれば、有益な会議となります。

⑤ サービス提供・介入

課題の解決にあたっては、医療と介護が連携して支援することが必要な場合もあることを踏まえ、継続的な支援や医学的管理の必要性などについて理解を促しつつ、自己決定を促すかかわり、目標達成できる介入が重要です。

サービス担当者会議

⑥ モニタリング

サービス担当者会議でケアプラン合意後のご利用者さま、家族の様々な病状の変化はないか、服薬管理は問題なく行われていたか、服薬における副作用等が原因で新たな課題が生じていないか、新たな疾患の可能性が生じていないかなどを把握し、予測できる課題の早期発見、早期対応となるよう意識し、予定通り目標の達成にむかっているのかのモニタリングを行うことが重要です。

⑦ 終結・フォローアップ

一般的なケアマネジメントプロセスの終結に準ずることとなりますが、疾患別の視点で考えると、疾患が治癒した場合はそれに対する支援は終了となります。しかし、疾患においては再発も起こり得るために、病状病態の変化を引き続きフォローすることも、ケアマネジメントにおいては重要な視点です。

内臓機能不全における療養上の留意点

内臓の機能不全にかかわる疾患における、療養上の留意点は、必ずかかりつけ医(主治医)と連携し、病状や治療状況、疾病にかかる注意点などを確認しましょう。

① 糖尿病

糖尿病の場合、食事療法が治療の基本となるために、必要摂取カロリーなども確認し、それに応じた食生活を支援します。インスリンを投与しているご利用者さまの場合、特に低血糖症状の発現は、生命に関わることも多いため、低血糖症状が起きた場合の対処方法などを医師との連携で確認しておきましょう。

糖尿病

② 高血圧

高血圧は塩分の過剰摂取が原因であることが多く、食事における塩分制限の有無などを確認し、必要に応じて減塩食などを検討します。現行の高血圧治療ガイドラインでは、病院以外での血圧も治療の参考にされており、ケア関係者に血圧測定の必要性を周知することも重要です。

③ 脂質異常症

脂質異常症は、症状を呈することがほとんどなく、ご利用者さま自身が疾患を意識することは多くはありません。狭心症や脳梗塞症を罹患している場合、再発の予防には、悪玉コレステロールといわれるLDLコレステロールの適切なコントロールが必要で、糖尿病や高血圧と同様、食事の適正化や確実な服薬、適度の運動が大切です。

高血圧

④ 心疾患

心機能が低下している場合、可能な運動量などを把握し、日常生活動作の支援や運動プログラムなどを検討します。慢性心不全などは、急激な変化が起こり、重篤な状態になることも多いため、緊急時の対応なども確認することが望ましいでしょう。

脂質異常症

⑤ 呼吸器疾患

呼吸器疾患のあるご利用者さまは、風邪などにより容易に呼吸状態が悪化することもあり、感染予防などを検討することが重要です。吸入治療は呼吸器疾患においては大変重要となっていますが、高齢者には理解しにくい場合もあり、吸入服薬などの支援も必要です。在宅酸素療法が行われている場合、その注意点などを医療関係者に確認し、適正な利用を関係者で共有します。

⑥ 腎臓病

腎臓病の場合、たんぱく、ミネラル制限などの食事管理が重要となるため、それぞれのサービスで食事内容を十分に検討します。透析療法が行われているご利用者さまについては、透析にかかる身体精神的負担を理解し、透析日、非透析日の対応など、医療関係者と十分に連携し、ケアプランを検討する必要があります。

脂質異常症

⑦ 肝臓病

肝疾患の状態に応じた対応が必要となりますが、特に肝硬変の場合は、浮腫などの体液量や便の性状なども重要な観察項目であり、ご利用者さまの状態の確認方法などを検討します。また、慢性C型肝炎などウイルス性肝炎に罹患しているご利用者さまの場合、血液曝露に注意する必要があり、関係者にしっかりと周知することが求められます。

ケアマネジャーはこれらの療養上の留意点を踏まえつつ、疾患の重度化防止や再発防止に努め、ご本人の前向きな気持ちを引き出す支援が求められます。「無理なく続けられる生活リズム」を整えることが、長期的な健康維持につながります。

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