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監修:看護師・主任介護支援専門員
雨師 みよ子
脳血管障害は、発症すると命にも関わる重大な病気ですが、その後の日常生活では「後遺症」に対する支援がとても重要になります。身体の動きだけでなく、認知機能や感情面にも影響が出ることが多く、生活のあらゆる場面でサポートが必要となります。
今回は、脳血管障害の発症後にみられるさまざまな後遺症をわかりやすく以下の表のように分類し、ケアマネジャーがどのような視点で支援していくべきかを考えていきます。
脳血管障害の発症後、脳の血流が阻害されることで意識がもうろうとする、会話が成り立たない、混乱した行動を取るといった「意識障害」が見られることがあります。急性期には昏睡状態であったり、回復期でも理解力が不十分なことがあり、意思疎通が困難になります。
意識の中枢は脳幹にあり、大脳に対して覚醒するための信号を送っています。脳血管障害ではこの経路が障害され、意識レベルの低下がみられます。重篤な意識障害はもとより、比較的軽度の意識障害であっても、長期にわたって継続すると日常生活への影響が大きくなります。意識レベルは、刺激に対してどの程度反応するかで把握しましょう。
【対応のポイント】
ケアマネジャーは、ご利用者さまの状態に応じたコミュニケーション方法を多職種と共有し、その人にとって適切な環境づくりを行うことが求められます。
それぞれのリハビリテーションによる機能回復・生活機能についての予後予測を確認します。また、ご利用者さまの心身機能・能力等を評価したり、環境調整を行うリハビリテーションチーム(リハビリテーション専門医・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)のそれぞれの役割、技師装具士の役割の確認、情報共有、連携が重要となります。
神経障害は、さまざまな神経の働きに対して起こる障害です。脳血管障害でよくみられるものには、以下のようなものがあります。
それぞれのリハビリテーションによる機能回復・生活機能についての予後予測を確認します。また、ご利用者さまの心身機能・能力等を評価したり、環境調整を行うリハビリテーションチーム(リハビリテーション専門医・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)のそれぞれの役割、技師装具士の役割の確認、情報共有、連携が重要となります。
【主な神経障害の種類】
① 運動障害
(手足が動かしにくい、歩行困難など)
脳血管障害の症状や後遺症では、さまざまな運動障害がみられますが、中でも最も多いのが、顔を含む身体の左右どちらかの手足(半身)が麻痺する片麻痺です。
片麻痺は、脳血管障害によって、全身の筋肉の動きをコントロールする役割を持つ脳の中の「運動野」が障害されることで起こります。左右の運動野と筋肉を結ぶ神経は、首の部分で交差しているため、右の運動野は左の上下肢体幹、左の運動野は右の上下肢体幹の領域の筋肉をコントロールしています。このため、右脳の障害では左片麻痺、左脳の障害では右片麻痺が現れることになります。また、脳血管障害の起きた部位が広範囲であれば、麻痺が現れる範囲も広く、逆に狭ければ麻痺の範囲も狭くなります。
また、小脳の損傷などにより、めまいがする、ふらふらする、バランスが悪くなって歩くことがうまくできないといった「運動失調」や、自分の意思とは別に手足などの身体の一部、もしくは全体が動いてしまい、止めようと思っても止められない「不随意運動」、手足が震える、筋肉が硬直する、ゆっくりとした動作しかできなくなる「脳血管性パーキンソニズム 」といわれる脳梗塞などの脳血管障害の後遺症によって発症する症状が起こることもあります。
② 言語障害
(言葉が出ない、理解できない=失語症)
脳血管障害による言語障害は、顔面や口・咽頭周囲などの麻痺によって起こります。神経症状の一つである言語障害は、脳の言語に関する機能を支配している部分に損傷を受けることで起こる「失語症」と、口の周りや口の中が麻痺してスムーズに話すことができなくなる「構音障害」の二つがあります。さらに、失語症には「運動性失語」「感覚性失語」などがあり、また、構音障害は「麻痺性構音障害」「失調性構音障害」があります。
【失語症の種類】
●運動性失語(ブローカ失語)
相手の話していることを理解することはできますが、思った通りに話すことができず、主に発音がうまくできなくなります。
●感覚性失語(ウェルニッケ失語)
流暢に話すことはできますが、意味のわからない内容になってしまい、相手の話していることも理解することができなくなります。
●健忘失語
相手の話を聞いて理解することはできますが、言葉がうまく思い出せないため、回りくどい言い方になってしまいます。「あれ」「それ」といった指示代名詞が多くなります。
●伝導失語
聞いて理解する力はしっかりしていますが、錯語(言い間違い)が多くなります。
●全失語
重度の失語症で、「聞く・話す・読む・書く」がほぼできなくなり、無言になってしまう状態です。
【構音障害の種類】
●麻痺性構音障害
話すときに使う神経や筋肉に運動障害が起こり、発音が不明瞭になったり、声の質が変わったり、舌が回らずうまく話すことができない症状です。
●失調性構音障害
話をしたときにリズムが乱れる、言葉がつかえる、繰り返しの言葉がうまく言えないなどの症状が起こります。
③ 感覚障害
(しびれ、痛み、温度が分かりにくいなど)
脳血管障害の感覚障害は、身体の半身の感覚が鈍くなったり、しびれや痛みなど、感覚に関する症状が突然起こったりします。しびれや痛みは治りにくく、身体活動や意欲の低下など、生活に影響を及ぼすことが少なくありません。感覚に関係する神経は、運動に関係する神経とほとんど同じ経路を通っているので、麻痺などの運動障害が起こると、感覚障害も同時に起こることが多くなります。
脳の血管の梗塞・出血した場所によっては、麻痺は起こらず、しびれだけが後遺症として残る場合があります。
④ 視野障害
(視界の一部が見えにくくなる)
脳血管障害の後遺症の中には、視野が狭くなる、視野の半分が見えないといった視野障害がみられることがあります。「半盲」とは片目、もしくは両目で見ても、視野の左右どちらか半分(または4分の1)しか見えなくなってしまうもので、生活上の安全面でも問題となることがあります。さらに、視力の低下や物が二重に見える「複視」などが起こることもあり、日常における生活のしにくさや行動範囲の制限といった面でも、影響を及ぼすことも少なくありません。
(イラスト参考)ユビー 病気のQ&Aより
⑤ 排せつ障害
(失禁、便秘など)
脳血管障害により排せつをコントロールしている脳の部分(大脳・脳幹)が損傷を受けると起こることがあります。排せつ障害として起こる症状は、尿の回数が多くなる「頻尿」、尿をもらしてしまう「尿失禁」、尿意を感じない、尿が出ない、便秘、便失禁、便意を感じないなどがあります。排せつ障害は、日常生活でも最も大きな問題の一つとなるため、症状や改善の可能性についても検討しておく必要があります。
⑥ 嚥下障害
(食べ物を飲み込みにくい)
嚥下障害とは、食べ物や飲み物の飲み込み(嚥下)がうまくできない状態のことです。唾液もうまく飲み込めないため、よだれが流れ出ることもあります。脳血管障害の後遺症としての嚥下障害は、飲み込むなどの運動を支配している神経に障害が起こると発症し、急性期では半分以上の人にみられるといわれています。意識が回復してくるとともに大半は回復しますが、後遺症として残ってしまうこともあります。
また、食べ物や飲み物が気管に入りやすくなってしまい、唾液や胃液とともに細菌が肺に流れ込んで生じる「誤嚥性肺炎」が起こりやすくなります。誤嚥性肺炎は、高齢者の脳血管障害における死亡原因の第一位とされる危険なもので注意が必要です。
食事の摂取については、専門職も含めた評価が必要となります。
⑦ 高次脳機能障害
(知的活動や精神的活動など高次の機能に起こる障害)
脳血管障害によって、「思考する力」や「感情をコントロールする力」に影響が出る場合があります。これを「高次脳機能障害」と呼びます。
高次脳機能障害とは、病気やケガなどで脳に損傷を受けたために、言語・記憶・思考・行為・学習・注意・判断などに障害が起きている状態を指します。「運動」「感覚」のような基本的な機能よりも、「知的活動」「精神的活動」といった高次の機能に起こる障害です。高次脳機能障害の原因として最も多いのは脳血管障害ですが、事故などによる頭部(脳)の外傷、脳炎や低酸素脳症などでも起こります。
高次脳機能に障害が起こると、「失語」「失行」「失認」「注意障害」「記憶障害」「発動性の低下」「抑制障害」などの症状が現れます。高次脳機能障害による症状は、外見からはわかりにくく、周囲に理解されづらいです。また、ご利用者さま自身も自覚していないことが多く、日常生活上も大きな支障となることも少なくありません。症状とその程度、改善の可能性や支援の方法など、専門職も含めたアセスメントが必要になります。
【主な症状例】
⑧ 血管性認知症
(まだら認知や感情失禁が起こりやすい)
血管性認知症は、アルツハイマー型認知症に次いで患者数が多いとされている認知症です。アルツハイマー型認知症が徐々に進行するのに対し、血管性認知症はよくなったり悪くなったりを繰り返しながら進行していきます。多発性脳梗塞など小さな脳梗塞が何度も起きている場合、脳梗塞が起きるたびに症状が悪化し、また、障害を起こした脳の場所によって症状も変わってきます。
血管性認知症の人は、脳梗塞などが再発することも多く、急に症状が悪化する場合があるので注意が必要です。
高次脳機能障害とは、病気やケガなどで脳に損傷を受けたために、言語・記憶・思考・行為・学習・注意・判断などに障害が起きている状態を指します。「運動」「感覚」のような基本的な機能よりも、「知的活動」「精神的活動」といった高次の機能に起こる障害です。高次脳機能障害の原因として最も多いのは脳血管障害ですが、事故などによる頭部(脳)の外傷、脳炎や低酸素脳症などでも起こります。
【症状の特徴】
●まだら認知症になりやすい
正常に働いている部位の機能は保たれている一方、脳梗塞や出血で障害を受けた部位の機能は低下してしまうため、例えば、物忘れがあり計算はできないが、判断力の低下は見られないなど、いわゆる「まだら認知症」といわれる状態がある。
●感情失禁が起こりやすい
感情のコントロールができず、すぐに泣いたり怒ったりしたり、笑顔が見られ機嫌が良さそうでも、急に怒り出す事などがあり、ご家族や地域住民、サービス利用中の他のご利用者さまとトラブルになることもあります。また、うつ傾向になりやすく、表情が乏しくなる場合もあります。
脳血管障害を発症後、後遺症や障害の程度は人それぞれとなるため、同じ診断でも支援方法が異なってきます。また、医師・看護師・リハビリ職(PT・OT・ST)など、多職種との連携が不可欠です。特にリハビリテーションの視点は、日常生活の自立につながるため重要です。できることとできないことを理解したうえで、支援をすすめていくことが大切です。
【連携の例】
① 医師との連携
② 看護師との連携
③ リハビリテーション専門職(PT・OT・ST)との連携
④ その他
・退院後のサービス調整や、ご家族への説明と橋渡し役を担う
【支援の工夫例】
事例1)失語
【主な症状】
事例2)失行
【主な症状】
事例3)半側空間無視
【主な症状】
ケアマネジャーは、これらの状態を早期に把握し、専門職との連携を通じて適切な支援策を計画・実行することが大切です。
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