車いすからトイレへのスムーズな移乗
車いすからトイレへの移乗は、立ち上がりや方向転換、ズボンの上げ下ろし、便座に座るなど、いくつもの動作が連続するので細心の注意を払う必要があります。また、トイレはプライバシー空間でもあるため、高齢者の気持ちに寄り添うことも大切です。ここでは介護者も介助者も負担が大きいトイレへの移乗を、スムーズに行うためのコツを紹介します。
目次
車いすからトイレへの移乗の手順
- 1.車いすでトイレに入り、トイレから遠すぎず近すぎない適切な位置に車いすを置く。前傾姿勢になったときに、壁や手すりに頭がぶつからないくらいの位置が目安。
★移乗しやすい車いすの位置
●通常のトイレでは…
車いすを便座から少し離して正面につける。
●比較的広いトイレの場合は…
車いすを便座に向かって直角に配置。
- 2.立ち上がりやすいように浅く座り、床に足をつける。介助者は両脇に腕を入れ、肩に腕を回してもらう。
- 3.手すりにつかまり、お辞儀をするような姿勢に。介助者は横から腰を持ってサポート。
そして縦の手すりをしっかり持って立ちあがる。介助者は両脇と腰を支える。
- 4.手すりにつかまったまま、お尻を便座の方向に。介助者は腰を持ち、後ろからしっかりと支える。
- 5.しっかりと立っていることを確認し、ズボンや下着を下ろす。
★トイレ移乗のポイント
トイレへの移乗は、介護者・介助者ともに身体的な負担も大きいものです。バランスを崩しやすいので、立ち上がりや方向転換のときには、しっかりと手すりを持ってもらうことが大切です。
また、ズボンや下着の上げ下げは、介助者の太ももで支えるとスムーズにできます。
- 6.横手すりを持ち、前傾姿勢を保ちながら、ゆっくりと便座に座る。座るまでは、介護者はしっかり支える。安定して座っていることを確認してから、その場を離れる。
- 7.排泄が終われば、逆の手順で車いすに戻ります。
★トイレの立ち上がりをサポートする福祉用具
トイレからの立ち上がりを、さらに楽にするために「トイレ用手すり」をおすすめします(レンタル)。手すりが設置できないトイレでは、「突っ張り型の手すり」もあります(レンタル)。
便器の高さが低い場合は「補高便座」をおすすめします(販売)。
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ベッドからポータブルトイレへの移乗
- 1.ポータブルトイレのベッド側のひじ掛けを邪魔にならないように可動式のものにはねあげるか、下げておき、座面をベッドと同じ高さに調整。
- 2.ベッドに浅く座ってもらい、身体を密着し、肩甲骨(ポータブルトイレ側)と反対側の骨盤を支える。
- 3.ポータブルトイレに近い方の足(本人の軸足)の延長線上に介助者の足を置く。
- 3.ポータブルトイレに近い方の足(本人の軸足)の延長線上に介助者の足を置く。
- 4.もう一方の足は2人の膝が当たるくらいの位置に。身体を斜めに倒して、お尻を浮かせ手前にゆっくりと引き寄せる。
- 5.肩甲骨と腰に手を添え、前かがみの姿勢になってもらい、お尻を浮かせる。
- 6.お尻を浮かせたまま回転し、ポータブルトイレの方向へ移動。
- 7.ポータブルトイレのひじ掛け(ベッドと反対側)を後ろ手で持って立ってもらい(介助者の肩につかまっても可)、ズボンと下着を途中まで下ろす。
- 8.しっかりと身体を支えながら、ゆっくりとポータブルトイレに座らせる。
- 9.ひじ掛けを下ろして、ズボンや下着を完全に下ろし、安定して座れていることを確認してから離れる。
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監修:関西医療学園専門学校 理学療法学科
教員 理学療法士 熊崎 大輔