生活習慣から質の良い睡眠を(2) スムーズな入眠
質の良い睡眠を得るためには、「寝ている間」だけではなく「起きている間」の生活習慣を改善することも大切です。日頃の生活習慣を見直し、環境を整えることで毎日スムーズに入眠できるようになり、充分な睡眠、そして心身の健康につながるのです。では、睡眠の質を向上させるためにはどのような点に気を付ければ良いのでしょうか。うっかり睡眠の質を落とす生活習慣をしてしまわないように、次のような点に注意して見なおしてみましょう。
1)入浴は就寝の1~2時間前に
人の体温は1日の中でも変化しています。活発に活動する昼間に体温は上昇し、身体を休める夜間には下がります。また、体温が0.4℃程度下がると、急速に眠気を感じると言われています。このように体温と眠気は密接に連動しており、入浴など、体温が変動する行為をうまく活用するとスムーズな入眠ができるようになります。一旦、体温を上げてから、ゆっくりと下げることで身体をリラックスさせ、ほどよい眠気につなげることができます。
就寝時に体温が高すぎると眠気が起こりにくくなるので、入浴は就寝1~2時間前に入浴を済ませるようにしましょう。
2)就寝前に温かい飲み物を飲む
入浴しない時や、入浴後に身体が冷えてしまった場合は、就寝前に温かい飲み物(白湯・お茶など)を飲むと良いでしょう。リラックスした状態で体温を少し上げ、そして下げる効果を、飲み物でも得ることができます。
3)就寝前の運動は軽いものを
激しい運動をすると、体温の上昇と同時に脳が興奮して覚醒してしまいます。身体と脳を落ち着かせるためにも、就寝前の激しい運動は避けましょう。
どうしても運動をしたい場合は、ストレッチなどの緩やかな汗をかかない程度のものを選んで行いましょう。
4)食事は就寝2時間以上前までに
就寝直前に食事をすると、消化するために内臓が活発になってしまいます。就寝時間に向けて身体が眠る体勢に入れるように、2時間以上前までに済ませるようにしましょう。
5)夜更ししない生活を
次の日が休みの場合など、ついつい夜更かしをしてしまうことも多いと思いますが、不規則な睡眠生活を送ると体内時計にズレが生じてしまいます。寝不足、寝溜めなどの極端な睡眠ではなく、できるだけ毎日同じ時間に就寝し、充分な睡眠時間を確保できるよう意識しましょう。
6)寝酒はNG
睡眠前の飲酒は、いびきや無呼吸の原因となり、睡眠に悪影響を及ぼします。飲酒後は眠くなるということから寝酒をする方も多いですが、飲酒による眠気は、アルコールによって脳が一時的に麻痺することによって起こるものです。夜中に目が覚めてしまったり、寝起きがスッキリしないなど、逆に睡眠の質を落とす要因になるので、できるだけ避けましょう。
7)睡眠時無呼吸症候群、いびきに注意
「眠っている間、苦しそうな呼吸やいびきをかいている」と、ご家族や身近な方から指摘されるような場合は、睡眠時無呼吸症候群かもしれません。睡眠時無呼吸症候群になると、一時的な呼吸の停止・再開によって「身体は寝ているのに、脳だけが覚醒した状態」が繰り返して起こり、脳が充分に休めない状態になってしまいます。
疲労が回復しないだけでなく、認知機能の低下や、血圧上昇により血管に負担をかけ、高血圧や脳血管性認知症などを引き起こす原因にもなります。慢性的な症状が見られる場合は早めに医療機関へ相談することをおすすめします。
≪睡眠時無呼吸症候群とは≫
睡眠中に気道が繰り返し閉塞される疾患です。
1回あたり10秒以上の呼吸停止が続き、7時間(一晩)の睡眠中に30回以上、あるいは1時間あたり5回以上の呼吸停止が続く状態を指します。
睡眠時無呼吸症候群の原因は、さまざまです。肥満によって顎や首まわりに脂肪がつき、気道が圧迫されることによって起こる無呼吸の場合は、食生活や運動習慣を見直すことで改善される可能性があります。
飲酒によって筋肉が緩み、気道が塞がりやすくなっている場合は、飲むタイミングや量を見直しましょう。特に寝酒の習慣がある人は要注意です。
その他、眠る時の姿勢や身体に合った枕を使うことによって、症状が緩和されることもありますので、原因がよく分からない場合は医師に相談してみましょう。
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監修:一般社団法人 日本認知症予防協会