高齢ドライバーの運転の特徴

高齢ドライバーの運転の特徴

わが国の運転免許保有者は約8,215万人で、そのうち75歳以上は約582万人(75歳以上人口の約3人に1人)となっています。交通事故の発生件数は減少していますが、高齢ドライバーが起こす事故件数は、ほぼ横ばいで全体に占める比率は高くなっています(警視庁交通局 令和元年度調べ)。高齢者が運転中に起こす事故の原因は、加齢による身体機能や認知機能の低下などが考えられるので、自身の心身の状態を自覚し、慎重のうえに慎重を期した運転を心がけましょう。

高齢ドライバーが起こす事故の原因

年齢別免許人数をみると、10万人あたりの死亡件数は75歳未満で3.4件ですが、75~80歳で8.2人と非常に高くなります。事故の原因をみると、ハンドルなどの操作ミスによる事故が最も多く、続いて安全の不確認、前方不注意が上位を占めています。特に最近、ニュースで見られるブレーキとアクセルの踏み間違いによる死亡事故は75歳以上になると増えてきます。

■75歳以上・75歳未満の原付以上運転者の人的要因別死亡事故件数

75歳以上の高齢ドライバーの操作ミスによる事故は75歳未満に比べて約2倍 75歳以上・75歳未満の原付以上運転者の人的要因別死亡事故件数 [75歳以上高齢運転者] 操作ミス:31%(130) ※このうちハンドルの操作不適:18%(76)、ブレーキとアクセルの踏み間違い:6.2%(26)・安全不確認:24%(102)・内在的前方不注意(漫然運転等):15%(64)・外在的(がいざいてき)前方不注意(脇見等):11%(45)・判断の誤り:8%(34) 死亡事故数:418件 ※調査不能が43件ある [75歳未満の運転者]・操作ミス:16%(459) ※このうちハンドルの操作不適:11%(320)、ブレーキとアクセルの踏み間違い:0.8%(24)・安全不確認:27%(763)・内在的前方不注意(漫然運転等):24%(672)・外在的(がいざいてき)前方不注意(脇見等):18%(520)・判断の誤り:10%(295) 死亡事故数:2,829件 ※調査不能が120件ある 注)警視庁資料による

高齢ドライバーの特徴

高齢者は加齢により、次のようにさまざまな機能の低下がみられます。

■視力や聴力の低下

視力の低下

視力の低下

視力の低下や視野が狭くなるとともに、動体視力も低下します。それによって対向車や歩行者の動き、標識などを的確に確認することが難しくなります。
また、周囲の音やクラクションなどが聞こえにくくなります。

■認知機能の低下など

複数の情報を同時に処理することが難しくなったり、反射神経が鈍くなったりして、とっさの対応が遅れます。また、対向車との距離感が取りづらくなることがあります。
さらに、注意力や集中力を保つことが難しくなります。

■運動機能の衰え

ハンドル操作が迅速にできなかったり、長時間にわたる運転が辛くなります。

■心理的変化

一般的に高齢者は、頑固になる傾向があります。「長年、安全運転をしているから大丈夫」という過信や、思い込みにより自分本位の運転になり、周囲の状況を客観的に把握しづらくなります。

安全運転を続けるために

高齢ドライバーが安全運転を続けるためには、身体機能の衰えや心理的変化を素直に受け入れ、慎重にも慎重を期した運転を心がけましょう。では、どのようにすればよいのでしょうか。

■まずは家族会議を開催

まずは家族会議を開催

まずは、家族会議を開いて高齢ドライバーの話をよく聞きましょう。そして車に同乗して、日頃どのような運転をしているかを確認しましょう。高齢ドライバーは、家族などから受けた注意や意見を素直に受け入れ、改善するように心がけましょう。

■高齢運転者標識(シルバーマーク)をつける

高齢運転者標識(シルバーマーク)のイラスト

高齢運転者標識(シルバーマーク)のイラスト

シルバーマークは、70歳以上のドライバーが車につけるマークです。このマークをつけた車への割り込み・幅寄せなどは、交通違反となります。周りの車に配慮してもらうためにも、必ずシルバーマークをつけましょう(道路交通法第71条第5号の4)。

■運転前の準備運動を忘れずに

視力に合った眼鏡に替えましょう。また、車で出かける前には道順を調べておき、運転前には足首や手首、肩、腰を回したり上下に動かしたりして身体をほぐしておきましょう。ハンドルやブレーキの操作がスムーズになります。

■慎重な運転を徹底

  • ●高齢ドライバーの交通事故は、自宅付近で発生しています。慣れた道でも安全確認を徹底します。
  • ●見通しの悪い交差点などで「いつも誰も通らないから大丈夫」と思い込まず、交差点や一時停止の標識がある場所では、必ず止まって左右をしっかりと見て、「左よし、右よし!」と大きな声を出して安全を確認します。
  • ●集中力の低下や反応の遅さを補うために、発進時や曲がるとき、減速するとき、レーンを変えるときは、周囲に特に注意を払います。
  • ●車間距離をしっかり保ち、スピードは控えめに。基本は走行車線で。

■体調がすぐれないときは運転を控える

体調が悪いときは、運転中に事故が起こりやすくなります。また、通院の帰りには薬や注射などの影響で運転に支障をきたすことがあるので車の運転を控えましょう。

参考サイト:
安全運転を科学するSSD研究所
https://www.ssd-laboratory.com/

高齢者に係る交通事故防止(内閣府)
https://www8.cao.go.jp/koutu/taisaku/h30kou_haku/zenbun/genkyo/feature/feature_01.html

監修:安全運転を科学するSSD研究所

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