和食のタブーとお酒のマナー
仲間との楽しい食事会。そんな時、無意識に周りの人たちに不快な思いをさせていないでしょうか。日本の食文化には、「嫌い箸」と呼ばれる箸のマナー違反があります。ついついやってしまいがちなので、日頃から気を付けたいところです。
また、お酒の飲み方にもマナーがあります。ビールや日本酒、ワインなど、それぞれに一番美味しく飲むための注ぎ方や、注がれ方、グラスの持ち方、注ぎ足すタイミングなどがあります。お酌は相手との距離を縮めるための重要なコミュニケーションの方法なので、正しい方法を知っておきましょう。
やってはいけない「嫌い箸」の数々
- ●付き箸、刺し箸…フォークのように食べ物を刺して食べる
- ●渡し箸…食後に箸を椀の上に置く・箸と箸で食べ物を挟む
- ●迷い箸…あれにしようか、これにしようかと迷いながら箸を宙で回す
- ●寄せ箸…箸を使って自分の手元に器を引き寄せる
- ●探り箸…箸で料理の中身を探る
- ●ねぶり箸…箸を口の中に入れてなめる
- ●差し箸…箸で人を指す
- ●こすり箸…割り箸を割ったときに出るささくれをこすって落とす
- ●ちぎり箸…箸を一本ずつ両手に持って料理をちぎる
- ●もぎ箸…箸の先にくっついたご飯粒を口でとる
懐紙の使いこなし
懐紙とは和紙を二つ折りにしたものです。着物の懐に入れていたことから「懐紙」と呼ばれるようになりました。懐紙を使うのは大人のマナー。例えば、食べ物を口に運ぶ際、手を添える(これを手皿といいます)のはタブーとされ、懐紙を添えるのがマナーです。文房具店や和紙製品のお店で販売されているので予め用意しておき、さり気なく使いこなしましょう。
- ●ナプキン代わりに、軽く口元や指を拭く
- ●テーブルがちょっと汚れたときにサッと拭く
- ●取り皿の代わりとして、水菓子や水気の少ない料理を乗せる(二つ折りにして折り目を自分に向けて使う)
- ●魚の骨を出すときなどに口元を隠す
- ●焼き魚の中骨を外すときに、頭を押さえるために添える
- ●食べ終えた後の魚の骨や残骸を隠す
- ●杯や箸を拭う時に使う
お酒の作法
ビールや日本酒、ワインには、お酌に関するマナーがあります。また、それぞれのお酒を一番美味しくいただくための注ぎ方、注がれ方、グラスの持ち方や注ぎ足すタイミングなどを紹介します。
■ビールの作法
●注ぎ方
ラベルを上にして注ぎます。はじめは緩やかに、徐々に勢いをつけて泡が出始めたら再び緩やかに注ぎます。
●注がれ方
右手でグラスを持ち、左手で底を支えます。傾け過ぎず自然な角度で持ち、泡がこぼれないようにします。
■日本酒の作法
●注ぎ方
右手の甲を上にして徳利の腹のあたりを持ち、左手を下に添えます。注ぐ際は、注ぎ口がお猪口につかないようにし、お猪口の八分目まで注ぎましょう。また、お猪口をテーブルに置いたまま注ぐのはマナー違反です。お酌するときは、ひと声かけてから注ぐようにしましょう。
●注がれ方
お猪口に両手を添えます。乾杯をするときは軽く掲げ、お猪口同士を合わせて音を立てないようにしましょう。
■ワインの作法
●注ぎ方
ラベルを上にして静かに注ぎます。注ぐ量はグラスの1/3程度が適量です。グラスいっぱいに注がないのは、グラスを回してワインを空気に触れさせるスペースをとり、香りを楽しむためです。
●注がれ方
ワイングラスはテーブルに置いたままにしておきましょう。手を添える場合は、グラスの脚に指を添え、軽く支える程度にしておきましょう。
●注ぎ足すタイミング
ワインはグラスが空になる手前ぐらいで注ぎ足すのがスマート。最初に注がれた適切な量に戻すイメージで注ぎ足すのが良いでしょう。
一方で、注ぎ足してはいけないケースもあります。白ワインは冷やして飲むのが良いとされていますが、少しぬるくなったワインに冷えたワインを注ぎ足すと、せっかくのワインが台無しになってしまいます。この場合は、飲み干してから注ぎ足すのがベターです。
参考サイト:
NPO法人 日本サービスマナー協会
http://www.j-manner.com/table/
監修:NPO法人日本サービスマナー協会
マナー講師 河中 寛子