「孫育て」で新たな生きがいを
近年、共働き世帯の増加などにより、親に代わって祖父母が乳幼児・児童の世話をする「孫育て」が増えています。孫育ては祖父母にもパパ・ママにも、お孫さんにとってもメリットがありますが、世代間の子育てに対する考え方や育児法のギャップに戸惑い、トラブルに発展するケースもあるようです。そこで楽しく「孫育て」をすすめるための方法や、気持ちの持ち方などを紹介します。親が仕事などで、ほぼ毎日預かるご家庭はもちろん、一時的に預かる場合でも役立つと思います。参考にしてください。
孫育てのメリット
孫育ては、祖父母や親、孫にとって、さまざまなメリットがあります。
■祖父母のメリット
- ●新たな生きがいを持てる
- ●孫から刺激を受けて老化防止につながる
- ●孫を通して地域の中で新しい交流が生まれる
■親のメリット
- ●育児と仕事が両立できる
- ●ベビーシッターや一時保育などに預ける費用が軽減できる
- ●子育ての負担やストレスが軽減できる
- ●余裕を持って子どもと向き合える
■孫のメリット
- ●より多くの愛情を受けることができる
- ●さまざまな世代の価値観を知ることができる
- ●高齢者をはじめ、人に対する思いやりを持てる
孫育ての心得10か条
祖父母世代に現代の子育てなどを伝えている「NPO法人孫育て・ニッポン」では、家族での孫育て、子育てを少しでも気持ちよくスムーズに行うため、「孫育ての心得10か条」と「祖父母とのおつきあい10か条」を作っています。この10か条をもとに、孫育てのポイントを説明していきましょう。祖父母のみなさんは「孫育て10か条」をチェックし、子育て世代の方は「祖父母とのおつきあい10か条」をよく見て心がけましょう。
■孫育て10か条
- 1)育児の主役はパパ・ママ、祖父母はサポーター
- 2)パパ・ママの話を聞く
- 3)今と昔の子育ての違いを知る
- 4)とがめるより、補う
- 5)他の子、親と比べない
- 6)手、口、お金は出しすぎず、心と体力にゆとりを!断る勇気も持とう
- 7)「ありがとう」「ごめんなさい」を言う、親しき仲にも礼儀あり
- 8)孫のほめ役、夢の最強応援団になる
- 9)自分のライフスタイルも大切に
- 10)老いていく姿を見せる
■祖父母とのおつきあい10か条
- 1)祖父母を頼りすぎない
- 2)「ありがとう」「ごめんなさい」を言う、親しき仲にも礼儀あり
- 3)育児方針、してほしくないことを祖父母に伝える
- 4)祖父母のタイプを見極める
孫とあまり関わりたくない祖父母もいる - 5)今と昔(祖父母世代)の子育ての違いを知る
- 6)預けた時は、文句を言わない
- 7)お金をもらったら、口と手がついてくる
- 8)孫の扱いは、決して平等にはならない
- 9)祖父母の生活、年齢、体力を気にかける
- 10)子どもの祖父母を敬う気持ちを育む
まずは3世代会議で話し合い、「孫育て」をスタート
孫育てを始める場合、「子育て経験もあるし、自分流でやっていれば大丈夫。何も聞かなくても分かる」と、話し合いをしないまま預かってしまうケースが多いようです。それでは、さまざまな行き違いが起こりトラブルにつながります。親子だからこそコミュニケーションが重要です。まずは3世代会議を開き、お互いの意見を聞き、話し合っておきましょう。
パパ・ママの育児方針に従い、サポートに徹する
育児の主役は、パパ・ママです。パパ・ママの育児方針を聞き、それに沿ってサポートすることが基本です。どのようなサポートが必要か、してほしくないことは何かを聞いて、自分ができること、できないこと、やりたくないことをきちんと伝えましょう。また、生活のリズムや食事なども聞いておきましょう。
■生活のリズム
食事や昼寝、排泄の時間、平熱などを聞いて、子どもの変化に早く気づけるようにしておきましょう。
■病気やケガの場合
基本、病院へ連れて行くのは親の役割ですが、急な発熱やケガなどに備え、対処方法や、かかりつけの病院を聞いておき、保険証のコピーを預かっておきましょう。
■食事・おやつ
3食の食事の時間や量、好きな食べ物、嫌いな食べ物を聞いておきましょう。特にアレルギーに関しては必ず確認しておくことが大切です。
■お金のこと
祖父母が退職している場合は、経済的に苦しい可能性もあります。パパ・ママが経費を払うなど、費用分担を事前に話し合っておきましょう。
参考サイト:
NPO孫育て・ニッポン
https://www.magosodate-nippon.org/about-jigyo/
さいたま祖父母手帳
https://www.city.saitama.jp/007/002/012/p044368.html
監修:NPO法人 孫育て・ニッポン
理事長 棒田 明子